グラフィック・デザインには、さまざまなテクニックが存在します。
それらのテクニックを学び、使いこなすことができれば、素晴らしいデザインを、生み出すことができます。
グラフィック・デザインにおいては、それらの基礎的な技術は、編集デザイン、つまり、エディトリアル・デザインから学ぶことができます。
編集デザインは、本のデザインや、雑誌のレイアウトをおこなう仕事です。
そのため、デザインの役割が、自然と大きくなります。
デザインの良し悪しによって、読みやすさや、伝わる精度といったものが、大きく変わってくるからです。
そのために、編集デザインでは、多くのテクニックを駆使して、読みやすさや、誌面の美しさを追求します。
しかし、だからといって、編集デザインに必要な技術を、一気に学び、身につけようというのは、難しいでしょう。
それらの技術が、あまりにも多岐にわたり、そして、それぞれが奥深いテクニックだからです。
そういう時には、学習の基本として、まず、分類し、原点から順番に学んではどうでしょうか。
編集デザインにおいて、必要なテクニックは、大きくわけて、二つあります。
「文字」と「レイアウト」です。
私は、これを、雑誌『デザインの現場』(vol.14no.89)の特集「文字とレイアウト」から学びました。
「文字」というのは、別の言い方をすると、タイポグラフィとか、レタリング、と呼ばれるものです。
デザインにおいて、「文字」は必要不可欠です。
まずは、こちらの基礎知識や、基本的な技術の習得を、優先するといいと思います。
特に、編集デザインにおいては、書籍などのように、文章がメインになることが多いからです。
編集デザインにおいて、「文字」を学ぶ場合、書体やファントなどの「文字」そのもののデザインと同時に、組版も学ぶ必要があります。
「文字」一つ一つのデザインとともに、それが連なり「単語」となり、そして、さらにつながって、「文章」となります。
それらがまとまった時に、いかに読みやすく、そして、美しく見えるようにするかが、デザイナーの腕の見せ所です。
これらの「文字」の組版を学ぶ時、以前であれば、写植や活字の知識が必要でした。
つまり、どのようにして、印刷されるか、という工業技術的な面からの制約があったからです。
それらの技術を踏まえて、どのように美しいデザインを作り出すのか、といった工夫をしたのです。
そのため、印刷における組版を学び、そこで研究されたテクニックを学ぶことで、編集デザインの文字組み、といったことも、自然と学ぶことができました。
しかし、現在では、ほぼデジタルで、文字を組み、デザインを仕上げます。
確かに、現在では、パソコンを使った画面上での文字を組むノウハウやテクニック、といったものも、生み出されています。
それらを使って、デジタルな文字を組み上げていく、ということも、良いデザインを作る有効な方法の一つだと思います。
ただ、やはり、まだまだ歴史が浅いため、技術的な蓄積や深みは、写植や活字の時代の方が、優れているのではないでしょうか。
そのため、もし、より詳しく、そして、深く、「文字」のデザインや組版を学びたいのであれば、過去の写植や活字の研究をしてみてもいいでしょう。
その時、ぜひ、お薦めしたいのが、海外の書体や組版技術も、一緒に学ぶことです。
私たちが、デザインをする時にあつかうのは、主に日本語です。
なのに、なぜ、海外の書体や文字組みに関する技術が参考になるかといえば、日本では、それらから、非常に大きな影響を受けたからです。
そのため、日本語の技術だけでなく、欧文書体からも学ぶことで、さらに理解が深まります。
私も、書体や文字組みの勉強をする時、欧文書体を学ぶことで、理解の幅が、広がりました。
これは、あくまでも、私のイメージですが、日本語の書体や組版の技術は、非常に細かい部分までおよんでいます。
確かに、「文字」のデザインや組版には、非常に繊細な技術が要求されます。
しかし、あまりにも、細かい部分のテクニックばかりだと、全体像や本質、といったものが見えにくくなります。
そのため、応用がなかなかきかず、小手先のテクニックを、繰り返し使う、といったことになりかねません。
そうならないためにこそ、「文字」の基本であり、原理原則を学ぶ必要があるのです。
それらを学ぶことができるのが、欧文書体なのです。
また、今、デザイン制作ツールのメインとなっているデジタル技術やパソコンも、ベースは、海外の言語であり、それをローカライズしたものが、日本で使っているものです。
そのため、欧文書体の仕組みや原則を学ぶことは、パソコンを使った「文字」のデザインを理解するためにも、有効です。
なかなか、日々のデザインの仕事や勉強の時、欧文書体まで、関心が及びにくいかもしれません。
しかし、海外の技術を学ぶことで、違った視点、違った知識を得ることができます。
ぜひ、広い視野で、デザインを学んでください。
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