文字をどのように見せ、また、どのように組み上げていくか、というのは、編集デザインにおいて、とても重要です。
そのための勉強として、非常に参考になるのが、新聞です。
現在では、新聞を読む人が少なくなったようです。
しかし、昔から情報メディアの中心となってきましたし、これだけ、電子媒体が普及しても、毎日、多くの人が読んでいます。
私が、デザインの視点から、新聞に興味を持ったのは、雑誌『デザインの現場』1997年6月号(vol.14 no.89)の特集「文字とレイアウト」で、取り上げられていたからです。
この中に、「タブーを常道に変えた毎日新聞の紙面レイアウト」という記事があります。
そこでは、従来の新聞のレイアウトとは違った、新しい試みが、いくつも紹介されていました。
それを読んで、デザインという視点から、新聞をとらえることを学びました。
今まで、デザインというと、雑誌や書籍のレイアウトをイメージしていました。
しかし、文字で作られた新聞も、さまざまなデザイン手法が駆使されて、考え抜かれて作られていることがわかりました。
確かに、新聞は、文字が中心の媒体です。
どのような書体で、どのような文字組みが、読みやすいのか、とてもよくデザインされています。
やはり、大量の文字を読み、多くの記事を読んで理解していくのですから、読みにくかったら、誰も、新聞を読んでくれません。
また、数多くの記事が存在する紙面から、目的の記事を探したり、いくつもの記事に興味を持ってもらったりできるように、見出しやタイトルなどにも、工夫がされています。
これによって、新聞の紙面全体に変化が出て、どんどんと読み進められるようになっているのです。
また、新聞のレイアウトは、独特です。
雑誌や書籍は、それほど複雑なレイアウトはしません。
一部の雑誌などは、変化をつけるために凝ったレイアウトをしますが、基本は、シンプルで読みやすいものになっています。
そして、ページをめくることにより、先を読んでもらうのです。
逆に新聞は、1ページの面積が大きく、そこに、複数の記事が掲載され、大量の文字がつまっています。
これらを、スムーズに読んでもらえるように、独自の文字の流し方や、記事のレイアウトをしています。
私も、新聞のレイアウトをしたことがありますが、記事の流し込みや、記事中の広告の配置など、慣れるまで苦労した記憶があります。
そして、新聞では、記事だけでなく、広告も、非常に参考になります。
特に、新聞の第一面の下の方に掲載されている新刊本の広告は、文字の扱い方の参考になります。
キャッチコピーや、本のタイトル、そして、説明文など、ほぼ、全てが文字で説明されています。
そこでは、どのような書体を使い、どのような文字組みをするのかが、とても考え抜かれて、デザインされています。
なんといっても、大量の文字があふれる新聞紙面の中で、読む人に見つけてもらい、興味を持ってもらわないといけません。
そのため、書体の選択や、文字組みなどに、力を入れるわけです。
ぜひ、新聞を見る際には、広告にも興味をもって、見てみて下さい。
最近では、テレビやネットのニュースなどを見る人が、多いのかもしれません。
しかし、デザインという視点から見ると、新聞の文字の扱い方は、非常に参考になります。
ぜひ、デザインという視点から、新聞の紙面を観察してみて下さい。
きっと、文字の扱い方や、独特のレイアウトの技術を、吸収できると思います。
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