バウハウスとウルム造形大学

 私が、編集デザイン(エディトリアル・デザイン)に、興味を持ったきっかけの一つが、ある雑誌の特集記事でした。

 それが、雑誌『デザインの現場』1997年6月号(vol.14 no.89)の「文字とレイアウト」です。

 この特集の中に、グリッドシステムが紹介されています。

 グリッドシステムとは、簡単に説明すると、決められた格子状(グリッド)にそって、誌面をレイアウトしていくものです。

 これは、日本人なら、わりあいイメージしやすいと思います。

 例えば、畳や障子なども、決められたグリッドによって、構成されています。

 そして、私が、特に興味を引かれたのが、そのグリッドシステムと関連して、ウルム造形大学について、語られていることです。

 グリッドシステムが、バウハウスと関係があることは知っていました。

 しかし、ウルム造形大学については、よく知りませんでした。

 ウルム造形大学は、バウハウスの流れをくむ教育機関です。

 主に、1960年代のタイポグラフィやエディトリアル・デザインに影響を及ぼしました。

 私がおもしろいな、と思ったのは、バウハウスで語られていたタイポグラフィやグリッドシステムを、さらに進化させている点です。

 私も、グリッドシステムなどは、理屈はわかるし、確かに、使いやすく、また、見やすい誌面を作ることができるだろうな、とは思っていました。

 しかし、シンプルでわかりやすい分、ワンパターンというか、単調で、おもしろみにかけるのではないか、と思っていたのです。

 その私の疑問に対する一つの答えが、ウルム造形大学の教えであり、理論でした。

 この特集の中では、文章量こそ、多くはないのですが、そのウルム造形大学の教えが説明されています。

 そこに書かれてあることを、簡単に説明すると、ウルム造形大学では、バウハウスのグリッドシステムの考えを継承しつつも、それにとらわれ過ぎないようにしていたようです。

 つまり、バウハウスのグリッドシステムの、その先の展開について、模索していたようなのです。

 この記事を読んだ時、時代が新しいということもあるのでしょうが、私は、そのウルム造形大学の考えに、興味を持ちました。

 理論的に制作しつつも、デザイナーの裁量や、モチーフの持つ魅力によって、レイアウトが変わってくるのです。

 これを大きく展開すれば、広告デザインとも、結びついてくるような気がします。

 ウルム造形大学は、バウハウスほど有名ではなく、関心も持たれていないような印象があります。

 しかし、現代の目から見ると、バウハウスより、ウルム造形大学の教えの方が、わかりやすいかもしれません。

 もちろん、源流となった、バウハウスついて学び、それが基礎となって、ウルム造形大学の理論やテクニックが、理解できるのかもしれません。

 しかし、ある意味、バウハウスの教えの現代的な「出口」であるウルム造形大学から、編集デザインを学ぶというのも、一つの方法なのではないでしょうか。