デザインを学びはじめた頃、私は、広告デザインが下手でした。
と同時に、苦手でもあったんですね。
下手だから苦手なのか、苦手だから下手なのか、もしくは、その両方が同じくらいに影響していたのかもしれません。
グラフィック・デザインを専門とするデザイナーにとって、広告デザインがうまくできない、というのは致命的です。
もちろん、グラフィック・デザイン=広告デザインというわけではありません。
グラフィック・デザイナーの活躍の場は、広告業界以外にも、いくつも存在します。
しかし、そういった限られた分野で仕事をし、活躍していくには、かなりのスキルが必要です。
もちろん私には、そのようなスキルはありませんでした。
別に、広告デザインが安易に活躍できる分野とは言いませんが、やはり、業界自体が広いので、受け皿はありますし、チャンスも多いのです。
そこで、デザインをやっていくのであれば、やはり、広告デザインがうまくならなくては、と、ずっと考えていました。
そのため、自分なりに調べたり、研究したりしました。
学校のデザインの授業では、基礎的なことは教えてくれますが、やはり、実践的なことは、社会人になって、自分で勉強していました。
そうして、しばらく、いろいろと悪戦苦闘していると、だんだんと変化があらわれました。
自分自身、広告デザインに対して、積極的な気持ちになってきたのです。
そのためか、少しずつですが、自分の広告デザインが、成果に結びついてきたのです。
つまり、お客さんが増えたとか、売り上げにつながった、ということですね。
そういうふうに結果につながってくると、また、やる気がわいてきますから、さらに、広告デザインに対して、積極的になります。
それがさらに、結果に結びついて……という好循環になりました。
そのきっかけは何だったかというと、ハッキリ言って、広告を好きになれたからです。
広告をデザインしているデザイナーの中には、広告自体を否定的にとらえている人がいます。
自分が広告を嫌いなのに、広告をデザインしても、それが人の心に響くものになることはないでしょう。
たとえ、人の注目を集めるものができても、表面的なテクニックを使っているだけでは、影響力は低いですし、いつかは、注目されなくなります。
やはり、広告に興味関心があり、広告の役割や意味というものを理解することが大事です。
そうすることで、広告デザインに、やりがいを感じるようになりますし、広告そのものが好きになります。
では、どうやったら広告が好きになれるか、ということですが、これは、まず、自分の好きな広告を見つけましょう。
日々、これだけ広告があふれていますから、見渡せば、自分が好印象をいだいたり、興味をひく広告が見つかるはずです。
そして、自分が好きな広告を見つけたら、なぜ、自分が好印象を持つのか、その理由を考えてみましょう。
レイアウトがいいとか、写真やイラストが素晴らしい、といった理由かもしれません。
それとも、インパクトのあるキャッチコピーをつかっているから、だとか、商品の特性を、うまく伝えている、といったことかもしれません。
そういった「好きな理由」を発見することで、広告に対して、興味を持つようになります。
その後に、なぜ、この広告を作ったデザイナーは、このような表現を使ったのか、というような意図を考えてみるのもいいでしょう。
また、自分のデザインワークに参考になる部分はないか、と考えてみるのもいいでしょう。
このように、広告に対して興味関心を持ち、広告を好きになる。
そうすることが、広告デザインの制作テクニックを上げるスタートラインだと思います。
やはり、イヤな気持ちや消極的な気分でデザインワークをやっても、仮にうまくなっても、充実感はありません。
好きな部分を見つけ、それを大きく育てていく。
これは、広告デザインに限らず、他のデザイン分野でも、上達のための秘訣だと思います。
コメント