これからお話しする内容は、あくまでの私の考え方であり、絶対的に正しいとは言いません。
しかし、高い山を登るのにも、いくつかのアプローチ方法があります。
デザインという、高く美しい分野にアプローチするにも、人それぞれの方法があると思います。
その中の一つ、と考えて、やさしい眼差しで見ていただければ幸いです。
私は、デザインの話とからめて、よくデッサンの話をします。
正直、デッサンは、あくまでもデザインを学ぶための前提知識であり、基本的な技術です。
しかし、この段階で悩んでいる人が多いため、かなり詳しく、具体的にお話ししてきました。
振り返って考えてみると、私自身も、若い頃は、デッサンで苦労した経験がありました。
そういう記憶があるものですから、デッサン習得の難しさや苦労がよくわかるのです。
だからこそ、なるべく丁寧に、解説したいと思っています。
その結果として、デッサンを学ぶためのヒントをまとめたレポートも、作ってしまいました。
このデッサンを、ある程度、身につけることができたら、次は、いよいよデザインの技術習得へと進みます。
私の場合、グラフィック・デザインをやりたかったので、その分野のテクニックを学ぶことにしました。
しかし、最初は、どこから手を付けていいのか、わかりませんでした。
もちろん、デザインを学ぶ授業は、いくつも受けていました。
そこで、いろいろなデザインの知識や技術を教わるのですが、それが、どのようにデザインに結びついていくのか、よくわかりませんでした。
また、それぞれの授業も、課題をこなすのが精いっぱいで、どれが好き、どれが得意、ということもなく、そこそこの成績でした。
つまり、デザインの分野に対して、漠然としたイメージしかいだけず、どのようにして、デザイナーとして一人前になっていけばいいのか、よくわからなかったんですね。
これは、就職して、デザインの仕事をするようになっても、続いていました。
ようは、デザインという分野をうまくとらえることができず、とりかかるべきポイントがわからなかったんですね。
そこで、再度、デザインについていろいろと調べ、勉強し直してみました。
そうすると、グラフィック・デザインの分野に対して、ある程度の輪郭というか、選別ができてきました。
まず、グラフィック・デザインは、大きく二つのグループに分かれます。
それが、編集デザインと広告デザインです。
編集デザインは、本や雑誌が主な舞台で、エディトリアル・デザインとも呼ばれます。
また、公共デザインなども、この分野に含まれます。
一方の広告デザインは、商品のポスターやチラシなどが、主な舞台です。
いわゆる広告宣伝をお手伝いするデザインですね。
それぞれの分野において、求められるものが違いますから、それにそったデザインをおこなう必要があります。
こういったグループわけをすることで、私の中で、だんだんとデザインという分野のイメージが明確になってきました。
その結果として、グッと自分の方に、デザインを引き寄せることができるようになったのです。
そして、次は、どれから取り組むか、といった順番、つまり、優先順位が大事になります。
編集デザインと広告デザインを、じっくりと眺めた場合、まずは、身につけるべきは、編集デザインだとわかりました。
編集デザインの中に、グラフィック・デザインの技術のほとんどが収められています。
つまり、編集デザインで使われるテクニックを、しっかりと身につけていないと、広告デザインは、できないわけです。
これがわかると、私は、まずは、編集デザインを学び、それを理解してから広告デザインへと進みました。
そうすると、今まで難解だと思っていたイメージ広告なども、ようやく理解できるようになりました。
実は、こういった話は、デザインを学ぶ初期も初期、はじめに説明される話です。
しかし、それを、単なる聞いた話として記憶にとどめるのではなく、自分で考え、自分で調べたからこそ、腑に落ちたのだと思います。
だからこそ、自分で学び、テクニックを身につけるという行動へ、結びついたのでしょう。
私がたどり着いた選別とアプローチ方法については、これから先、さらにご説明していきたいと思います。
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