デザイナーの考えを、本から学ぼう

デザイン 基礎知識

 デザインに、興味・関心を持つ人は、おそらく、実際のデザイン作品を見てから、というきっかけだと思うんです。

 例えば、車だったり、椅子だったり、ポスターだったり、という感じですね。

 では、自分でも、そういうものを作りたい、つまり、デザイナーになりたいと思ったら、良いデザイン作品だけを、見ていればいいのでしょうか?

 

 もちろん、良質なデザイン作品を見ることは、非常に勉強になります。

 多くの人は、ただ、漠然と、目に入ってくる物の中で、良いものがあれば、「かっこいい」とか、「きれいだな」と感じると思うんです。

 でも、自分でも、作り手側にまわる、つまり、デザイナーになろう、と思ったら、もっと積極的になるべきです。

 自分で、良いデザインを探し、それに触れる、という努力ですね。

 

 でも、このようなことは、あくまで基本であり、言い方を変えれば、当然のことです。

 デザインに、興味・関心があり、デザインが好きであれば、自然と、そういう気持ちになり、行動へと結びつくはずです。

 

 ただ、デザインを学び始めた最初の頃は、それでもいいかもしれませんが、本格的に学び始めると、それだけでは、満足できないはずです。

 自分自身で、デザインを考えよう、となると、目で見たものだけでは、不十分なはずです。

 どうしても、どこかで見たようなものになるし、かといって、自分のオリジナリティを出そうとしても、どうしていいか、わからない。

 

 私も、そんな感じで、悩んだ時期がありました。

 でも、その時、思ったのは、では、他の人はどうしているんだろう、ということです。

 つまり、デザイナーは、どういう考えで、デザインを生み出しているんだろう、ということです。

 デザインを作り出すプロセス、つまり、考え方というか、方程式みたいなものがあれば、自分でも、デザインを生み出すことができるんじゃないか、と思ったのです。

 

 そこから自然と、デザイナーの人が何を考え、それをどのように形にしているか、ということに、興味を持ち始めました。

 つまり、デザイナーの人の、頭の中をのぞいてみたい、と思うようになったんです。

 そうやって、いろいろ調べてみると、実際にデザイン作品として表現されていることは、ごくごく一部だ、ということに気づきました。

 別の言い方をすると、目の前に見えるデザインの後ろには、デザイナーの深い考えがある、ということです。

 

 なぜ、その形になったのか、なぜ、その色になったのか、他にも、大きさや配置、などなど、いろいろなことが、考えられています。

 それらを、結果としてのデザイン作品を見ただけで、全て理解できるわけでは、ないんです。

 実際に、デザイナーの言葉として解説されると、ようやく理解できるし、目の前のデザイン作品の、別の一面が見え、また、違った印象を感じることができます。

 もっと言えば、単なる技術的なことだけではなく、思想やら哲学、といったものまでが、デザインを生み出す根源となっている、ということがわかるんです。

 

 では、それらを知るには、どうすればいいか?

 一番確実で、わかりやすいのは、デザイナー本人の話を聞くことです。

 この作品をデザインしたプロセスや、動機、そして、どういう意図をもって、このようなデザインにしたのか、その理由を聞くわけです。

 ただ、一人一人のデザイナーに、直接会って聞くわけにもいきませんし、そういう機会自体、まずないでしょう。

 

 そこで、有効な手段として、デザイナーの書いた本を読むことをお勧めします。

 デザイナーが自分のデザインについて、たっぷりと語ってくれていますから、読み応え十分です。

 そこからは、デザイン作品を見ただけではわからなかったことを、いろいろと知ることができます。

 

 やっぱり、デザインは、形ですから、どうしても視覚、というか、見た目が優先されます。

 それに比べ、本は、文字で成り立っていますから、デザイナーの思考が、文字を読むことで、頭に、スッと入ってくるわけです。

 そのようにして、デザインを作り出す考え方、といったものが、頭の中に出来上がってくるのです。

 

 デザインを勉強するために、文字で書かれた本を読む、というと、いまひとつ、ピンとこないかもしれません。

 しかし、デザインを作り出す思考を学ぶ上で、これは、非常に有効な手段です。

 なにしろ、今では会うことができない、過去の偉大なデザイナーの思考も、学ぶことができますから。

 

 本を読むことに慣れていない人は、まずは、興味を持ったデザイナーを一人でも見つけ、その人の本を、手に取ってみることをお勧めします。

 でも、難しい、と感じたら、次の本を探しましょう。

 そうして、自分に合った本を見つけましょう。

 そうやって、知識を広げ、本を読むことに慣れてきたら、だんだんと視界が開けてきます。

 その結果、難しいと感じた本も、理解できるようになります。

 

 デザインについて語られた本は、非常に勉強になります。

 ぜひ、本からデザインを学ぶ、という方法も、試してみてください。

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