デッサンをはじめたばかりの頃は、どのような順番で描いていけばいいのか、迷うと思います。
中心から描けばいいのか、大きいものから描けばいいのか、または、自分の好きなものから、どんどんと描けばいいのか。
それを考えていると、手が止まり、もう、どうしていいのか、わからなくなります。
まず、順番は、あまり重要ではありません。
しかし、デッサンの進め方には、注意が必要です。
よく、デッサン初心者の人が間違いやすいのは、一点集中して、描いてしまうことです。
つまり、ある特定の部分を描き始めると、集中して、そこばかり描き、あとの部分が、おろそかになってしまう、というパターンです。
そうではなく、まずは、全体をとらえ、バランスよく描いていくのです。
つまり、一か所だけ、念入りに描きこむのではなく、全体の形をとらえ、そして、均等に描いていきます。
そして、しだいに影や質感を描いていって、デッサンを完成させます。
そうすることによって、バランスよく調和のとれたデッサンができるのです。
例えば、一か所だけ、最初に念入りに描いたとします。
その時、その部分の影を、かなり黒く描いてしまうと、他の部分で、もっと黒い影があった場合、そちらの暗さを表現するのが難しくなります。
最悪、最初に描いた真っ黒に塗りつぶした影を、描き直さなくてはいけなくなります。
そうならないためにも、常に全体に目をくばり、少しずつ、影を濃くしていきます。
そして、そのデッサンの中で、一番、暗い部分を、最後に、描きこんでいくわけです。
そうすると、明暗や質感のバランスがとれ、全体的に調和のとれたデッサンになります。
また、全体的に描いていく理由は、他にもあります。
例えば、試験や授業のデッサンの場合、描く時間、というものが決められています。
その決められた時間内に、デッサンを完成させる必要があります。
その場合、一か所だけに集中して描くと、他の部分が十分に描けず、中途半端な未完成のデッサンになってしまいます。
そうならないためにも、まずは全体像を描きます。
そうすることで、どこに、どれくらいの描きこみが必要か、ということがわかります。
そして、時間のかかりそうな部分は、自分で計画をたて、描いていくことができます。
一部分だけに集中してしまうと、他の部分を描くのに、もっと時間が必要ということが後でわかっても、時間が無くなってしまうかもしれません。
しかし、最初から、複数のモチーフを、大きな画用紙の中に描いていくのは、たいへんでしょう。
そのため、最初は、小さいカップなどを描いていきます。
そのような単品を描く時も、先に全体をとらえ、そして、細部の描きこみをしていく、という考えで、デッサンをしていくといいでしょう。
その描き方を覚えると、複雑で、大きなデッサンでも、描くことができるようになります。
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