よく「絵が上手」もしくは、「絵がヘタ」という言い方があります。
この時、多くの場合、判断基準となっているのが、デッサン力があるかないか、ということです。
つまり、目の前の物を、いかに本物らしく描くことができるか、ということです。
これがデッサン力と呼ばれるものです。
確かに、生まれつき、器用で、特に練習しなくても、上手に、絵を描くことができる人もいます。
しかし、そうでない人も、ある程度、練習して、デッサン力を磨いていけば、いわゆる「絵が上手」といわれるところまでは、上達できます。
ようは、絵がうまくなるための勉強や練習をしてこなかったから、まだデッサン力が身についていないだけなんです。
したがって、デッサンに関する最低限の知識と技術を身につけさえすれば、デッサン力が向上し、絵がうまくなります。
よく、絵がうまい人は、才能がある人、という見方をされます。
確かに、芸術性の高い絵を描こうとすれば、特別な才能がいるのかもしれません。
しかし、基本的なデッサン力を身につけるだけなら、才能の有無を考えるより、デッサンの知識と技術を学び、一枚でも多くのデッサンを描いた方がいいでしょう。
基本的なデッサン力というのは、ある意味、読み書きそろばん、と同じようなものです。
例えば、プロの書道家になるには、才能が必要かもしれませんが、学校で作文を書いたり、メールを打ったりする分には、基本的な文章力があれば十分です。
また、高等な数学の問題を解くには、ひらめきと専門知識が必要かもしれませんが、日常で買い物をする時、合計金額を計算するには、小学校の算数の知識があれば十分です。
つまり、特別なデッサン力を身につけるには、特別な才能と、特別な訓練が必要です。
しかし、基礎的なデッサン力を身につけるのであれば、きちんとした学習と、あとは努力があれば、大丈夫です。
このような真実が、なかなか伝わっていないのは、やはり、絵がうまい、ということに対して、神聖化されているというか、特別な考え方を持っている人が多いためです。
しかし、デッサンにも、基礎的なものもあれば、常人ではできない特別なものもあります。
つまり、デッサンの中にも、いろいろな段階があるのです。
今回、ご説明しているのは、その中でも、最初の、基礎的なデッサンについてです。
絵の表現や描写を突き詰めていくのではなく、他の分野に進む最初の段階として、デッサンを学ぶのであれば、基礎的な部分だけで十分です。
そのため、自分にとって、どのようなデッサンが必要なのかを見定め、それを間違わないように、しっかりと身につけていきましょう。
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