そもそも、デッサンが好きで、積極的に学ぼうという人は、少ないと思います。
もちろん、絵がうまくなりたい、自分のイメージを上手に表現したい、という強い思いにかられて、デッサンを勉強しようという人も、いるでしょう。
しかし、私自身も含めて、芸大の受験科目にあったり、学校のカリキュラムにあるから、デッサンを学んでいる、という人も多いと思うのです。
まあ、そういう風に、消極的で、なんとなく学んでいるようでは、なかなかデッサンがうまくなることはありません。
私も、なんとか、デッサンを勉強せずに、もしくは、楽して、効率的にデッサンが上達する方法はないものか、と、ズルい考えをしていました。
そういう気持ちで、イヤイヤ、デッサンに取り組んでいるから、いつまでたっても上達しない。
上達しないから、しだいに苦手意識が出てきて、最後には、嫌いになってしまう。
その結果、何日も、何週間も、デッサン用の鉛筆すら握らない時間が、どんどんと過ぎてしまうのです。
こういうことを経験したり、現在、デッサンが苦手で、嫌いになっている人も、いると思います。
では、そういう時、どうすればいいのか。
また、私は、どのようにして、その苦しみを抜け出してきたか、ということについて、ご説明したいと思います。
悩める人すべてについての解決策には、ならないかもしれませんが、ちょっとしたヒントというか、アドバイスには、なるかもしれません。
いくつか、アドバイスがあるのですが、まず、苦手であったり、嫌いである、ということは、マインド、つまり、心の状態の問題なんですね。
つまり、気持ちが前向きになり、デッサンに対して、興味関心や、憧れがあれば、デッサンの練習にも、積極的に取り組める、ということです。
では、どうすれば、デッサンに興味を持ち、憧れをいだき、好きになれるのか?
具体的な方法として、素晴らしいデッサン作品を、いくつも見る、というのがあります。
自分が惚れ惚れしてしまったり、こういうデッサンが描けるようになりたいなぁ、と思えるような作品を見つけることです。
つまり、自分の好きなデッサンを発見する、ということですね。
それには、いくつもデッサン作品を見る必要があります。
たくさんのデッサン作品を見れば、その中には、必ず、あなたの心の琴線に触れるデッサンが見つかるはずです。
そういう風にして、自分の好きなデッサン作品を、一つ一つ、増やしていく。
そうすることで、デッサンに対するあこがれや、感動が生まれてきます。
その結果として、デッサンに対する興味関心が高まり、自分でも描けるようになろう、という積極的な気持ちになります。
それが、デッサンの練習に取り組む、という行動へとつながっていくのです。
この時、一点だけ、注意すべきことがあります。
それは、あくまでも描く立場として、デッサン作品を見ることです。
ただ単純に、鑑賞者としてデッサンを見ていくと、超高度で、精緻なデッサンを、高く評価してしまいがちです。
でも、描く立場として、そういう作品を見ると、あまりのすごさに、ついつい、「自分では、とても描くことはできないな……」と、あきらめるような気持ちになってしまいます。
そうならないコツは、自分より、ちょっとだけ上手なデッサン作品を見つける、ということです。
今の自分の実力では、ちょっと無理だけど、少し努力して、背伸びすれば、届きそうなぐらいのデッサン。
そういう作品を見つけ、それを目標に、練習をがんばればいいのです。
そして、少しだけ実力アップして、目標のデッサンが描けるようになったら、次のお手本となるデッサン作品を見つけます。
そして、憧れをいだきつつ、また、練習をがんばる。
このようにして、一つ一つ、階段を上るようにして、ステップアップしていくのです。
そうするうちに、やがて、デッサン技術がどんどんと上達し、その結果として、苦手意識を克服して、ついにはデッサンが好きになるのです。
このようなデッサン上達のためのヒントを、まとめてみました。
⇒『デザインのためのデッサン講座(考え方・初級編)』
コメント