デザインの基本的な知識やテクニックをご紹介していると、よく、デッサンについての疑問と出会います。
例えば、デザイナーになりたくて、デザインの勉強をはじめたけど、デッサンは、必要なのか、という問いですね。
確かに、デザインを学びたいのに、まずデッサンを上手くならないといけない、というのは、戸惑う人もいるでしょう。
デザインに比べると、どうしてもデッサンは地味ですし、ある程度、練習の時間がかかるからです。
「デザインを学ぶ時に、デッサンは、本当に必要なのか?」
そのような漠然とした疑問を持ちながら、納得せずに、日々、デッサンに向かっている人もいるかもしれません。
そこで、私なりの考えというか、答えを書いてみたいと思います。
答えは、二つあるのですが、まず、一つ目は、とにかく手を動かそう、ということです。
デザインを学ぶ過程で、デッサンが必要になる時は、おそらく、基礎学習の段階です。
例えば、美大のデザイン専攻に入学するための試験だったり、一年生や二年生の授業の課題などです。
そういう時、はたしてデッサンって、必要なの? と悩むかもしれません。
しかし、そこは、もう、悩むより、それはそういうものだ、ということで、手を動かした方が良いです。
必要か不必要か、正直、私にも、よくわかりません。
しかし、課題として設定され、試験に必要とあれば、それをクリアするだけです。
悩むより、手を動かし、一枚でもデッサンを描いた方が、必ず上達します。
正直、デザインを学ぶ過程で必要なデッサン力は、それほど高いレベルは要求されません。
油絵や彫塑など、芸術家を目指している学生たちのデッサンに比べれば、合格ラインは、それほど高くない、といっていいでしょう。
なぜなら、デザイナーの向かうべき方向や目標は、そことは別の場所にあるからです。
すぐに答えの出ないことに悩むよりも、サクサクと手を動かし、合格点をもらえるデッサン力を、さっさと身につけてしまいましょう。
デザイナーのとって必要な技術は、まだ他にもたくさんあるのですから。
もう一つの答えとしては、やらないよりは、やっておいたほうがいい、ということです。
これは、私の経験上、言えることですが、デッサンを全く学ばないより、多少、苦労しても、身につけておいたほうがいい、ということです。
その理由はいくつもあるのですが、まず、忍耐力がつき、丁寧な作業ができるようになります。
正直、デッサンは、慣れないうちは、ひどく面倒くさく感じるものです。
何十分も、何時間もかけて、一枚の絵を、チマチマ、完成させていくのですから。
しかし、ある程度、テクニックが身についてくると、それが、おもしろくなり、やりがいも感じてきます。
なんといっても、真白だった画用紙に、自分で描いていくわけですから、そのおもしろさは格別です。
また、デザイナーは、自分の考えやイメージを表現して、他の人に伝えなければいけません。
つまり、頭の中のバーチャルなイメージを、現実世界に、リアルとして、伝えるわけです。
その時、具体的に描くことができる表現力があった方が、よく伝わります。
そこで強力な武器となるのが、デッサン力なんですね。
だからこそ、人に、自分のイメージを伝えることができる最低限のデッサン力が必要なのです。
これが、デザイナー以外ですと、例えば、言葉として話して伝えたり、文字で伝えたりします。
しかし、デザイナーは、「かたち」や「ビジュアル」で表現します。
そのために、デッサン力が必要なんですね。
普通の勉強における基礎的な技術、つまり、漢字や、算数の九九のようなものだと思ってください。
逆に言えば、デッサン力を身につけてから、はじめてデザイン学習のスタートラインに立てる、とも言えます。
デッサンを学び、身につけるのは大変かもしれませんが、ゴールまでの道のりは、正直、それほど遠くはありません。
ここは、ひとつ踏ん張って、駆け抜けていきましょう。
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