デザイン、というと、常に新しいものを求め、流行にのっていく、というイメージがあります。
トレンドや、はやりを生み出し、世の中の注目を集める、というものです。
私も、この考え方を、全て否定するわけではありません。
確かに、デザインには、そういった部分もありますし、そこに魅力がある、とも思っています。
しかし、トレンドや流行を作る、というのは、デザインの一面にすぎません。
デザインとは、しっかりと考え抜かれ、きちんと計算されたものです。
流行や時代を作り、常に新しいもの、変化していくという面だけではありません。
それと同時に、時代の流れに左右されない理論と技術があります。
そういったしっかりとした「舞台」があるからこそ、その上で、派手で、魅力的な「演劇」をおこなうことができるのです。
つまり、デザインを知り、デザインについて学びたい、と思ったら、この縁の下の「舞台」について、理解する必要があります。
つまり、基本となる知識や技術について学び、身につける必要がある、ということです。
これは、スポーツにおける基本的な体力と似ています。
一流のアスリートの技術にあこがれ、それを身につけようとしても、肝心の基礎体力がないと、どうしようもありません。
デザインにおいても、同じです。
デザインの派手な面や、目新しい部分だけに注目しても、その本質を理解していないと、表面的なことしかわからないのです。
では、デザインの基礎的な部分、つまり、本質とは、何でしょうか?
それを、一言で説明するのは、なかなか難しいのですが、これだけは言えます。
デザインの大事な部分は、時代が変わっても、共通している、ということです。
時代の変化によって変わっていくならば、そもそも、それは本質とは、いえないのではないでしょうか。
時代が変わっても、変わらない部分、それが本質であり、デザインの大切なところです。
この、デザインの大切な部分を、まず、見つけ、そして、理解することが重要になってきます。
しかし、一度、この本質を理解し、身につけることができれば、その本質は、ずっと役立ってくれます。
何しろ、時代の変化に関係なく、有効なのですから。
私もデザインを学び、デザインの仕事をしている時、その本質の大切さを痛感しました。
やはり、大切な部分を理解していないと、デザインを作っていても、おもしろくないのです。
デザインをするという、本来だったら、創造するという素晴らしい仕事が、ただ単に流れ作業のように、ただ、手を動かすというだけになってしまいます。
それは、やはり、見た目だけの美しさにだけ目がいき、その根底にある本質まで理解していなかったからです。
そこで、いろいろと学びはじめたのですが、手にとった本や資料からは、なかなか学ぶことができませんでした。
出会った本や資料は、確かに良質なものが多かったのですが、それはやはり、流行や見た目の美しさを解説したものが、ほとんどでした。
その奥にあるものについては、見えてこなかったのです。
そこで、あちこち探しまわり、いろいろな情報を読んでみました。
そうしているうちに出会ったのが、過去に発行されたデザイン本の数々です。
最初、私も、思い違いをしていて、時間の経過したものは、その中に書かれてあるものも、古びている、と思っていました。
しかし、いざ、読んでみると、そこに書かれてあることが、非常に大切である、ということがわかってきたのです。
その当時、かかえていた問題や疑問というものに対する解決策というものが見えてきたのです。
これは、なぜなのか、ということを考えてみると、やはり、本質、というものが見えていなくて、理解ができていなかったからです。
表面的な美しさや、高度な技術ばかりに目がいき、その背後にある基本的な部分に対する理解が足りなかったのです。
それからは、過去に出版されたデザイン本に関心が向くようになりました。
昔の本でも、現在の視点から見ると、非常におもしろく、勉強になりました。
逆に、時間が経過したからこそ、冷静な目で見て、そして、判断し、大切な部分を学ぶことができるのです。
デザインの本質は、時代の変化に左右されず、受け継がれています。
それは、過去に出版された優秀なデザインの本から学ぶことができるのです。
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