私も、若い頃、広告を、デザインしていました。
と、言っても、それほど派手な広告ではなく、新聞の折り込みチラシや、パンフレットなどです。
また、小さな会社の宣伝チラシや、個人商店の手まきのビラなどが、主な仕事でした。
それでも、最初の頃は、自分の作ったデザインが、印刷され、社会に流通するというのは、非常にうれしかったのを、おぼえています。
しかし、そういう仕事をやっていくうちに、だんだんと、行き詰まってきました。
正直、そういう仕事には、あまり創造性というものは、求められていませんでした。
与えられた原稿を、整理整頓して、ほんのちょっとだけ、きれいに見せる、というような感じでした。
たまに、アイディアを出しても、ほとんど採用されることはありませんでした。
今から振り返ると、私の考えたデザインに、それほど、説得力がなかったからかもしれません。
そして、だんだんと、仕事の量ばかりが増え、体力的にも、精神的にも、疲れてきました。
ようは、不景気なので、高い値段で仕事がとれないため、量で稼ぐ、という感じでした。
そうするうちに、仕事の壁にぶつかってしまい、また、体を壊したこともあり、再度、学校に入りなおし、デザインの勉強をすることにしました。
その時、もう少し、広告について、学んでみようと思いました。
まだデザインは、好きでしたし、広告について、もっとよく知ることができれば、よりよい広告デザインができるのではないか、と考えたからです。
ちょうど、その時、広告の仕事をされていた先生から、教えを受ける機会がありました。
そして、その時、薦められたのが、西尾忠久著『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』(美術出版社)でした。
さすがに私も、その広告の存在自体は知っていましたが、それほど派手でもなく、インパクトもなかったため、きちんとレイアウトされた広告だな、というぐらいの印象でした。
しかし、先生から、フォルクスワーゲンの広告キャンペーンの本当のすごさを教えていただき、また、違った目で、見直すことができました。
その本に掲載されていた広告は、シンプルで、非常にわかりやすく、なんといっても、訴求力があったのです。
それに気づいた時、広告というのは、もしかしたら、非常に単純明快なものなのではないか、と感じました。
そして、そういう目で、いろいろな広告を見ていくと、また違った印象を受けましたし、作り手の意図、というのも、見えてきたのです。
そして、なにより、フォルクスワーゲンの広告から学んだのは、コンセプトの大切さであり、そして、セールスコピーの力です。
これらに気付いた時、私の広告に対する考え方は、大きく変わりました。
関心を持ち、そして、広告に対して、非常に興味が湧いてきたのです。
そのきっかけを作ってくれた『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』には、感謝しています。
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