実は、今、おもしろい本を読んでいるので、今回は、その本について、ご紹介したいと思います。
その本とは、田中泰延著『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)です。
町の本屋さんで見つけて、おもしろそうなので、手に取りました。
今、読んでいただいているブログの文章などを書く参考になれば、と思って、読み始めたんですね。
ところが、ただの文章術の本、っていうだけではなく、広告についても、いろいろと解説がされているんです。
著者の方が、もともと、広告を作る仕事をされていて、キャッチコピーやコピーライティングにつても、詳しいんです。
そこで、広告とは何か、その中で、文章はどのような役割を持っているのか、といったことを、わかりやすく解説してくれています。
まだ、途中までしか読んでいないのですが、それでも、十分、おもしろく読んでいます。
広告についても、わかりやすく書かれているので、広告デザインをされている方とか、グラフィック・デザインに興味がある方にも、参考になると思います。
例えば、この本の中で、広告作りにおいて大事なのは、仮説を立てることだ、と述べられています。
なぜ、仮説を立てることが重要なのかというと――、そこは、まあ、本書を読んでもらうことにしましょう。
あまり、ネタバレしても、申し訳ないので。
でも、その理由を聞いてみると、なるほどなぁ、と思います。
もし自分が、昔、広告を作っている時に、このような視点というか、考え方があったら、もっと楽しく広告を作ることができたかなぁ、と思っています。
ただ、読んでいて、ぼんやり思ったのは、ネット広告では、ちょっと違ったケースもあるのかな、ということです。
私は、今、実際にネット広告を作成したり、運営したりしています。
もちろん、ネット広告でも、仮説を立てることは重要なんですが、すぐに、検証や修正ができるので、とにかく、思いついたことを実践してみることができるんですね。
だから、広告の運用を、高速で回転していくことができる。
そのため、ネット広告は、どんどんと深化して、質を高めていくことができるんです。
もう一つ、なるほどな、と思ったのは、今までは、広告を作る主役が、広告「代理」店の人達だったということ。
つまり、自分が商品を作ったり、サービスを提供していたりするのではなく、あくまでも、クライアントの代わりに広告宣伝をしていた、ということです。
そのための考え方や覚悟についても、きちんと触れられています。
これも、指摘されてみればもっともで、本来なら、自分で商品を作って、自分で宣伝すれば、それでいいわけです。
何と言っても、自分が作った商品ですから、その商品については、自分が、一番、わかっているはずです。
しかし、その人が広告をすれば売れていくかというと、現在の世の中は、なかなか、そう簡単ではありません。
だからこそ、広告を「代理」でやってくれる人に、おまかせするわけです。
これも、分業の一つかもしれません。
しかし、ネット広告の場合、自分一人でも実践できますし、いろいろな展開も可能です。
なので、もしかしたら、これからは、自分で商品を作り、自分で宣伝をする、という本来の姿に戻ってくるかもしれません。
このように、文章術の本ながら、広告についても、いろいろ考えさせてくれます。
わかりやすく、おもしろい文章で書かれていますから(ここらへんが、多くの広告を作ってきた人ならではですね)、サクサクと読むことができます。
ただ、今、読みながら漠然と思っているのは、タイトルにある「読みたいことを、書けばいい」という言葉。
じゃあ、自分の「読みたいこと」って、なんだろうと考えてみたんですけど、
……
すぐには、思い浮かばないんです。
いやいや、これだけ、デザインに関する文章を書き続け、ブログも運営しているのに、と、思われるかもしれません。
しかし、それが、「本当に、心の底から」、自分が「読みたいこと」なのか、というと、自信がありません。
単に、得意だから、とか、人に喜んでもらえるから、という理由だけで、書き続けてきたのかもしれません。
まして、自分が書いてきた文章が、自分の読みたい文章だったのかというと、そうとも言えないんじゃないか、と考えてしまいます。
もしかしたら、自分には、そもそも、「読みたいこと」なんて、ないのかも、とも思ってしまいます。
「読みたいこと」がない人間が、文章を書く場合は、どうすればいいのか。
その答えが、本章の後半に出てくるかもしれません。
もし出てこなかったら、文章を書く前に、自分の「読みたいこと」を探す方が先かもしれない、とも思ったりします。
それが、どれだけ長く、困難だったとしても。
その先にしか、自分の文章がないのだとしたら。
このように、いろいろ、考えさせてくれる本です。
気になった方は、ぜひ。
⇒田中泰延著『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)
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