デッサンを、これからはじめようと思っている方に、お薦めしているのが、こちらの本です。
この本の最初の方に、「色と調子について」と題された項目があります。
ここでは、色を、モノクロの鉛筆で、どのように表現するか、ということを、わかりやすく解説しています。
デッサンというのは、基本的に、白黒、つまり、モノクロで表現します。
つまり、黒い鉛筆の濃淡のみで、全てを表現する手法なのです。
色のない世界で、赤や青、黄色などの色彩を、どのように表現していくのか?
これが、デッサン初心者の方が、よくつまづく部分なのです。
モチーフをモノクロで表現する。
これは、現代の方がわかりにくく、また、表現するのが、難しいのかもしれません。
なにしろ、現代では、モノクロで表現しているものが、ほとんどないですから。
逆に、昔の方が、モノクロで表現されたものは、多かったですね。
例えば、映画やテレビは、モノクロでしたし、印刷物も、モノクロが主体でした。
新聞や雑誌でも、モノクロ写真が多く使われていました。
パソコンでも、誕生当初は、モノクロの画面でした。
それが今では、ほとんどの表現物がカラーになってしまいました。
そのため、モノクロで表現する、と聞いても、ピンとこないかもしれません。
唯一、現在でも、モノクロ表現が主流なのは、マンガぐらいでしょうか。
しかし、マンガも、昔のようにインクや墨を使っていたのに対し、今では、トーンでの表現が多く用いられています。
そのため、純粋なモノクロ表現というよりも、ちょっと違った表現手法と言った方がいいかもしれません。
したがって、デッサンのモノクロ表現を学ぶには、現代の方が、しっかりと学ぶ必要があると思うのです。
しかし、色とのつながりや、モノクロの具体的な表現手法というものは、デッサン関連の専門書では、あまり詳しく解説されていません。
個別のモチーフについて、それぞれの表現手段を、その場その場で解説している本は、たくさんあります。
しかし、その、もっと手前の表現手法、もっと基礎的な色のモノクロ表現の考え方などは、あまり詳しく説明されていません。
これはなぜかと言うと、その段階の話は、とっくに理解しているという前提で、それぞれの解説書が、説明しているからです。
これはある意味、もっともなことで、勘の鋭い人は、言われなくても、モチーフを見たり、何回かデッサンをしていれば、自然と気づいたり、表現できたりするようになるのです。
しかし、そうでない人もいます。
例えば、私は、モチーフを見ても、実際に手を動かしてデッサンをしても、まるで、わからず、うまく描けませんでした。
そういう人には、やはり、基礎の基礎から、丁寧に、くわしく、わかりやすく解説したものが必要となります。
本書『やさしいデッサン入門』では、実際の色と、モノクロの鉛筆で表現したものを、左右に並べて掲載しています。
そのため、赤なら赤、青なら青、黄色なら黄色を、実際にどう表現するのか、というのが、一目見ただけでわかります。
この色は、こういう感じで表現すればいいのか、実際にどのような調子で描けばいいのか、といったことが、すぐに理解できるようになっているのです。
もちろん、これは基礎中の基礎ですから、これだけで、りっぱなデッサンが描けるようになる、というわけではありません。
しかし、この部分をしっかり理解しておくことで、ぐっとデッサンは描きやすくなります。
つまり、その後のデッサン技術の吸収具合や、成長の度合いが、大きく変わってくる、ということです。
ぜひ、最初の段階で、しっかりと、「色と調子について」を理解をしておいてください。
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