私は、雑誌『デザインの現場』(vol.14no.89)の特集「文字とレイアウト」を読んで、編集デザインに興味を持ちました。
その中でも、江島任さんが、強く印象に残っています。
なんといっても、力強く、インパクトのあるデザインなのに、洗練された美しさを持っていました。
「どうやったら、このようなデザインができるのだろう?」と、デザインのテクニック面について、知りたくなったのです。
そこで、江島任さんのデザインについて、解説されている本はないか、調べました。
しかし、私の調べ方が下手だったせいもあるかもしれませんが、思ったような資料を見つけることができなかったのです。
やはり、デザイナーというのは、裏方、というか、舞台下の役割なので、あまり注目されません。
本当に、専門的な、デザイン業界に向けて、わずかばかりの資料が、作られているぐらいです。
そのため、江島任さんのテクニックについて知るのは、難しいのかな、と、ずっと思っていました。
あとは、もう、実際に江島任さんがデザインされた雑誌レイアウトを見ながら、そのテクニックを盗む、いや、学ぶしかないのか、と思っていました。
しかし、諦めずにいると、良いことがあるんですね。
2016年に、この本が出版されました。
江島任著『アートディレクター 江島任 手をつかえ』(発行:木村裕治・木村デザイン事務所/発売:リトルモア)
まさに、一冊、まるごと江島任さんです。
こういう本を待ち望んでいました。
ぜひ、みなさんにも、おすすめしたいのですが、残念ながら、現在、品切れ状態です。
確かに、専門書ですし、値段が値段なので、それほど多くは、刷られなかったのかもしれません。
しかし、これほどの貴重な良書を、手に入れられない状況というのは、なんとも、悲しいというか、もったいないと思います。
実は、私は、デザイン書専門のネット古書店を運営しているので、できれば、そちらの方で、ご提供できれば、と思っています。
準備ができましたら、ご案内しますね。
あと、『アートディレクター 江島任 手をつかえ』で、感慨深かったのが、発行に、木村裕治さんが、かかわられていることです。
実は、木村裕治さんも、先ほどの雑誌『デザインの現場』(vol.14no.89)の特集「文字とレイアウト」に、登場されています。
その中では、木村裕治さんが、レイアウトの参考にする資料や、雑誌デザインに対しての考え方、そして、実際にレイアウトされた誌面などが、掲載されています。
木村裕治さんのデザインは、江島任さんと似ている部分はあっても、より洗礼された、というか、ポップな感じがしました。
そのため、江島任さんとは、また違った良い印象が、残っていました。
その木村裕治さんが、江島任さんの足跡をまとめられたと思うと、とても感動してしまいます。
もともと、木村裕治さんは、江島任さんのデザイン事務所で、働かれていたこともありますから、関係は深いのでしょう。
このような人間関係を見ていると、編集デザインの考え方やテクニックは、脈々と、受け継がれているんだなぁと、感じます。
私は、ぜひとも、その流れを、研究して、そこにある「秘密」を、知りたいと思っています。
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