私が、編集デザインを学ぶうえで、大きな影響を受けたのが、雑誌『デザインの現場』(vol.14no.89)の特集「文字とレイアウト」であることは、以前、お話しました。
その特集「文字とレイアウト」の最初に登場するのが、江島任(えじまたもつ)さんです。
さすがに、私も、お名前だけは聞いたことはあったのですが、この記事を読むまで、江島任さんについて、詳しくは知りませんでした。
江島任さんは、1933年の東京生まれで、雑誌『ミセス』や『NOW』、そして『月刊プレイボーイ』などの編集デザインをされました。
タイポグラフィとレイアウトで、独特の感性を発揮され、間違いなく、日本の雑誌デザインの一時代を作られた方です。
しかし、こうやって、紹介していても、時代を感じるというか、若干、温度差を感じます。
デザイナーのすごさを感じていただくには、そのデザインに触れるのが、もちろん、一番です。
しかし、現在では、江島任さんのデザインを見る機会というのは、ほとんどないんですね。
確かに、「資料」として、デジタルの資料や、デザインの教科書などに登場することはあります。
しかし、当時の雑誌そのままの大きさで、直接、江島さんがデザインされたデザインに触れる機会がないというのは、残念です。
私も、少し調べたことがあり、直接、江島さんのデザインされた雑誌を、見たことがあります。
やはり、江島さんのデザインは、インパクトがあり、同時に、とてもクールというか、理論的なんですね。
文字、つまり、タイポグラフィの魅力を十分に活かしつつ、限られた誌面の全て活かしきる、という感じです。
日本の雑誌レイアウトは、ここまでいっていたんだなぁ、と、感動しました。
実は、その背後には、モダンデザインのタイポグラフィの流れや、言語としての日本語の特長や、活字から写植への流れ、といったものがあります。
そういった流れも、いつか自分で、研究や勉強をしてみたいと思っています。
ただ、残念というか、自分自身も後悔しているのが、この雑誌デザインの流れを、うまくデジタルに結びつけることができなかった、ということです。
本来であれば、例えば、写植などで培われたタイポグラフィのテクニックなどを、DTPやwebデザインへと結びつけ、活かしたかったのです。
ただ、それをおこなうには、あまりにも、変化のスピードが早すぎた、と感じています。
ただ、最近、グラフィック・デザインにおけるデジタル技術も、ようやく落ち着いてきたようなので、なんとか、理論化できないかなぁ、と思っています。
また、この特集を読んで、当時、つくづく感じたのは、やはり、デザインというのは、デザイナーなんだな、ということです。
社会や産業が巨大化するにつれて、なかなか個人ができる事って、少なくなっていると思うんです。
そんな中、デザインは、デザイナーの美意識や感性で成り立っていることを知って、「かっこいい」と感じました。
こういう、あこがれって、大切だと思います。
願わくは、これからのデザイン、そして、デザイナーの方が、そのような存在になってくれると、うれしいです。
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