デザイナーとして、広告デザインをする場合、どうしても、そのビジュアルに、こだわってしまいます。
もちろん、それが仕事の一つですから、間違いではありません。
しかし、それだけに執着しすぎると、良い広告は、生まれません。
やはり、広告をデザインするには、もっと深く、そして、さまざまなことを理解しておく必要があります。
その中の一つが、マーケティングです。
確かに、正直、デザイナーが、マーケティングやセールスを勉強する必要があるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。
しかし、私は、知っておいた方がいいと思います。
これは、自分で、一から広告を作成する経験を通して、感じたことです。
例えば、大規模な広告でしたら、マーケッターやアートディレクター、コピーライターなど、さまざまな専門家がいます。
しかし、もっとミニマムな広告の場合だと、デザイナーが、そのレイアウトから、時には、コピーライティングまで、任される時があります。
例えば、商店街のお店の広告チラシなどです。
私も、そのような広告を、いくつも制作してきました。
そういう時、いつも思ったのは、学校で教わったり、本で読んだりした広告の作り方とは、全く別物だ、ということです。
つまり、一口に広告デザインと言っても、当然ながら、その種類は、一つではありません。
そのため、作り方も、さまざまあるのです。
後年、じっくりと広告やマーケティングを勉強すると、その違いが、ようやくわかりました。
まず、マーケティングを、大きくわけると、2種類あります。
1つは、全国展開する広告を使うマス・マーケティングです。
これには、テレビや大新聞を使い、大々的におこないます。
一方、もう1つは、ご近所にあるお店などが、生活範囲にあるお客さんに向けて行う広告です。
また、特定の限定されたお客さんを対象にした広告です。
これの代表的な存在が、ダイレクト・レスポンス・マーケティングです。
私は、個人商店や小規模企業の広告デザインをしている時には、このダイレクト・レスポンス・マーケティングについては、まったく知りませんでした。
今では、その存在を知り、有効性を理解しています。
つくづく、あの当時に、知っていれば、もっと有効で、効果のある広告デザインができたのになぁ、と反省しています。
しかし、後年、ネットで、いろいろと仕事をするようになって、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは、とても役立っています。
勘違いしないでいただきたいのは、マス・マーケティングとダイレクト・レスポンス・マーケティングのどちらが優れているか、という話ではありません。
どちらも、それぞれ長所がありますし、有効な方法です。
しかし、目的が違えば、手段も違います。
その目的にあった手段をとりましょう、ということです。
そして、その違いをデザイナーも理解し、自分のデザインに活かせるようになるべきだ、ということです。
一口に広告デザインといっても、その目的によって、さまざまな展開の仕方があるのです。
それらを器用に使い分ける事こそ、一人前のグラフィック・デザイナーにとって、必要なことだと思います。
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