広告を好きになったのは、この本と出会ったから

 一口に、デザインと言っても、その中には、さまざまなジャンルがあります。

 私は、デザイン全般が好きで、それぞれのジャンルに興味を持ってきました。

 デザインをどのようにわけるか、いろいろな意見があると思います。

 私は、大きく、
 ●プロダクト・デザイン
 ●インテリア・デザイン
 ●グラフィック・デザイン
 という感じで、わけて、とらえています。

 この中でも、グラフィック・デザインが、私の専門であり、好きな分野です。

 このグラフィック・デザインも、三つの分野から成り立っています。

 それが、
 ○基礎デザイン
 ○編集デザイン
 ○広告デザイン
 の三つになります。

 グラフィック・デザインが上達するには、この三つの分野を、バランスよくマスターするのがいいですね。

 でも、多くのグラフィック・デザイナーの方は、それぞれ、自分の専門分野、というものをお持ちかもしれません。

 ただ、グラフィック・デザイナーの場合、ある程度、さまざまな分野でも、仕事ができる能力を、身につけておいた方がいいと思います。

 その方が、仕事の幅が増えますし、なにより、楽しいからです。

 私も、若い頃から、それぞれの分野について、勉強してきました。

 そして、何冊も、その分野に関する本を読んできました。

 そんな中で、とても印象に残り、影響を受けた本が、ありました。

 それをちょっと、ご紹介しようと思います。

 これから各分野を学ぼうとしている人や、壁に突き当たり、悩んでいる人の参考になれば、と思います。

 まず、基礎デザインですが、これは、デザインの基本となる技術や考え方を学ぶ分野ですね。

 主に、デッサンや色彩構成などを勉強します。

 その時に参考になったのが、

●乗松巌、坪内正著『デザイナーを志す人のための 鉛筆デッサンの基礎技法』 (別冊アトリエ NO.114、1973年発行)

●松本英一郎、深澤純子著 『デザイナーのための精密デッサン』 (アトリエ技法シリーズ増刊E10、 アトリエ出版社、1984年発行)

 これらの本は、デザインのためのデッサン、というふうに、目的を明確に絞って解説しているので、非常にわかりやすかったです。

 そして、目的がはっきりしているから、本当に大切なものだけを、学ぶことができるんです。

 おかげで、デッサンが、上達しました。

 次は、編集デザインですが、これは、こちらの雑誌の特集から、大きな影響を受けました。

●特集「文字とレイアウト」(雑誌『デザインの現場vol.14no.89』)

 この特集では、江島任さん、多川精一さん、木村裕治さん達が、登場されます。

 特集「文字とレイアウト」の良いところは、文字とレイアウトの魅力を、たっぷりと伝えていることです。

 やはり、デザインにとって必要な、ある種の「かっこよさ」を、感じることができるんです。

 この特集を読むことで、さらに編集デザインが好きになると同時に、より深く理解できたと思います。

 最後が、広告デザインです。

 実は、私は、昔、広告自体が苦手というか、あまり良い印象を持っていなかったんですね。

 売るためのデザインとか、セールスのためのデザインというのを、ちょっと特別な目で見ていたと思うんです。

 しかし、この本との出会いによって、大きく、考え方が変わりました。

 それが――
●西尾忠久著『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』 (美術出版社) 1963年発行
 です。

 この本からは、多くの方が影響を受けているため、いまさら、という感じを持つ人もいるかもしれません。

 しかし、私は、本当に、この本と出会うことで、広告に対して興味を持つことができました。

 そして、商品やサービスを売るための広告デザインを、好きになったんです。

 そうして、好きになって勉強してみると、広告デザインは、奥が深く、非常におもしろい分野であることがわかりました。

 そのおもしろさと、そして、『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』の魅力を、ぜひ、みなさんにも、お伝えしたいと思っています。