デザインを作る人、つまり、デザイナーにとって必要な技術として、説明する力、または、説得する力、というものがあります。
デザインとは、想像であり、創造です。
つまり、新しいものを作りだす、ということです。
新しいものですから、今までにないものです。
今までにないものですから、全ての人は、作られたデザインを初めて見るわけです。
その時、見る人にも、事前にある程度の共通認識、みたいなものがあれば、デザインも、受け入れられやすくなるでしょう。
しかし、多くの人は、「?」となる可能性の方が高いです。
もちろん、そうならないように、努力する必要はあります。
例えば、ユーザー・インターフェイスを良くしておく、という方法もあります。
家電製品などの操作方法をわかりやすくして、迷わずに、利用者が操作できるようにしておくわけです。
ただ、デザイナーが消費者に届ける前に、当然、デザイン制作を頼んだ発注者というか、クライアントがいます。
まずは、その人たちに、デザインの説明をする必要があります。
「見ればわかる」というのは、やっぱり、ちょっと極論だと思います。
今の時代、そこまで完璧なデザインを、一発で作ることができる人は、ほぼ、いないと言ってもいいでしょう。
また、これだけ、世の中が拡大・複雑化した時代では、人々の考え方や価値観も多岐にわたります。
そのため、受け取り方も、人ぞれぞれでしょう。
だからこそ、理論的に説明し、納得してもらう、という必要があります。
私は、デザイナーにも、説明責任や説得する力、というものが必要だと思います。
なぜ、この形になったのか? または、なぜ、この色なのか? といった理由を説明できないといけません。
「ただ、なんとなく」というだけの理由では、やはり、納得してもらうには、ちょっと弱いと思います。
たとえ、直感的に思いついたとしても(私も、そういった感覚自体は否定しません)、では、なぜ、そう思ったのか、ということを説明する努力をするべきです。
デザインをある程度勉強し、デザイナーとして、仕事をしてくると、やはり、説明し、説得することの重要性ということが、わかってきます。
もしかしたら、デザインを作り出すことと同じくらい、それは、難しいことかもしれません。
ただ、これはデザインに限らず、他の仕事でもそうですが、やはり、社会での仕事というのは、結局のところ、コミュニケーションに集約されると思うのです。
デザインにしろ、説明にしろ、説得にしろ、最終的には、いかにコミュニケーションをとるか、ということになります。
これが、プレゼンテーションなどに結びついてくるわけです。
以上のような話は、当たり前と言ってしまえば、その通りです。
しかし、意外と、コミュニケーションを苦手にしているデザイナーの方が多いと感じているので、今回、あえて、書いてみました。
もちろん、私自身もそうだった(もしかしたら、今でも、そうかもしれませんが)、という、反省も込めています。
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