デザイナーも、戦略と戦術を使いわけるべき

 最近、つくづく感じているのは、デザイン・ワークにおいても、戦術だけでなく、戦略を考える必要があるな、ということです。

 ここで言っている戦術というのは、デザインの具体的なテクニックのことです。

 きれいなレイアウトであったり、適切なタイポグラフィの選択であったり、そういった実践で、すぐに使うテクニックのことですね。

 一方、戦略というのは、全体の流れを見て、その中で、どのようにデザインをするのか、を考えることです。

 例えば、ビジネス戦略や広告戦略の中で、今、自分がおこなうデザインが、どのような位置づけで、どのような役割を求められているのか。

 または、どのような読者を想定して、どのようなイメージを、この先、育てていきたいのか、といったことです。

 昔は、具体的で実践的なテクニックを知っていれば、デザイナーとして活躍できました。

 それは専門職だったからなんですが、今では、その知識や技術が、広く知れ渡っています。

 私は、それはデザインを理解してもらうにはいい事だと思うんですが、その分、デザイナーの特権、というのは、低下したのも事実です。

 もちろん、デザインは、知っているだけでは不十分で、デザイナーであれば、それをどのように活用し、実践し、結果として、良いデザインを生み出す、というところまで持っていく必要があります。

 でも、今では、どのように活用するのか、といったノウハウも、どんどん広まっていますよね。

 例えば、私が、ブログやメルマガで発信しているデザインの情報なども、そういう種類のものです。

 だからこそ、より広い視野でデザインを見て、その中で、どのようなデザインが必要か判断できる能力が必要ですし、大事だと思うんです。

 私も、そういう能力を身につけられればな、と、日々、思いながら、勉強しています。

 そもそも、私の場合、デザインに関する能力が低かったですから、とにかく実践的な「戦術」レベルのテクニックをマスターすることが、第一だったんです。

 そうするうちに、なんとか、ひととおりのデザイン・テクニックが理解できたかな、と思っていると、テンプレートで準備されたデザインの方が、素晴らしかったりします。

 そういうの使って、特にデザイン知識がない人でも、見栄えのいいデザインを作ったりすると、うーん、なんだかな、と思ったりします。

 そうなると、もっと違ったアプローチというか、視点で、デザイン全体をとらえ直してみる必要があるのでは、と思っています。

 やはり、デジタル技術の登場もあいまって、フィッシュ・ワークなどは、昔に比べると、それほど差が出なくなったというか、極端な話、誰でも、できるようになったのです。

 つまり、デザインの「戦術」レベルでは、昔でいうところの専門性が、それほど必要でもなくなった、というわけです。

 だからこそ、デザインも「戦略」レベルの思考法と、ノウハウが必要になり、デザイナーにも、それが求められるのではないか、ということです。

 ただし、「戦略」を使うにしても、最低限の「戦術」の理解と、活用方法を知ることは必要です。

 それは、基礎体力といえるもので、そこをおろそかにすると、「戦略」を使いこなすことはできませんし、そもそも、デザインにおける「戦略」自体を理解することも難しいでしょう。

 だからこそ、これからも、常に、基礎的な技術の解説と、普及を続けるつもりです。

 そして、そこで満足せず、その先の「戦略」へ結び付けていきたいと思います。