本や雑誌などを対象とする編集デザインで、中心的な存在をしめるのが、文字です。
小説などのテキスト主体の本などは、文字が大部分をしめます。
また、見ることが中心の雑誌でも、やはり、文字の種類や形が、全体の印象を決めます。
もちろん、文章の中身は、小説家なり、ライターなりが書きます。
しかし、最終的に、読み手に見える形のするのは、グラフィック・デザイナーの仕事です。
よくデザインの世界では、編集デザインであつかう文字のことを、タイポグラフィやレタリング、と言ったりします。
言葉の定義は、さまざまあるのですが、ここでは、理解しやすいように、私のとらえ方をご紹介しておきます。
タイポグラフィとは、文字の形の種類のことです。
タイポグラフィの中に、書体やファントといった言葉も含まれます。
例えば、ゴシック体とか明朝体とか呼ばれるものです。
それらをすべて含んだものが、タイポグラフィだ、と、とらえてください。
一方、レタリング、というのは、文字をデザインすること、と理解するといいでしょう。
文字を描き、新しい形の書体などを、作り出していくことが、レタリングと呼ばれるものです。
言葉の定義自体は、人それぞれなのですが、やはり、それぞれに意味や役割があります。
タイポグラフィやレタリングは、グラフィック・デザインには、なくてはならない存在です。
また、グラフィック・デザイナーが専門とする領域でもあるので、しっかりと勉強する必要があります。
といっても、難しく考えることなく、楽しみながら、学ぶといいでしょう。
文字、というと、その形ではなく、その中身にやはり、どうしても注目しがちです。
その文章は何を伝えたいか、ということに関心がいき、どのような形、どのような姿で伝えるか、ということは、後回しになってしまいます。
確かに、多くの人や、多くの場合、文章の書体が、ゴシック体か明朝体かなどを、気にすることは、ほとんどないでしょう。
しかし、意外と文字の形、というのは、読む人の印象に関わってきます。
そのため、やはり、タイポグラフィやレタリングは、重要だ、ということです。
例えば、人と初めて会う時のことを、想像してもらうといいでしょう。
その人がどういう人か、やはり、話してみないと、その人の考えや気持ち、性格といった「中身」は、わかりません。
確かに、人間は、その中身が大切です。
しかし、やはり、第一印象というものが、あると思います。
最初は、「中身」はわかりませんから、どうしても、「見た目」で、仮の判断をしてしまいます。
「中身」が大切とは言いながら、やはり、「見た目」にも気を使い、良くしていく必要はあるでしょう。
デザインにおける文字も、同様です。
「中身」の前に、読む人の目にとまるのは、やはり「見た目」です。
それを良くしていくのが、タイポグラフィやレタリングの技術なのです。
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