デッサンについて書かれた本というと、芸術分野からのアプローチが多いと思います。
一流の画家の方々が、ご自身の表現やテクニックについて、語っている、というものです。
そして、その中には、ご自身の芸術に対しての考え方や、思想・信条なども含まれています。
確かに、それはそれで面白いし、非常に役立つものです。
しかし、デッサンがうまくなりたい、と思っていた高校生時代の自分には、難しく感じました。
そもそも、目の前のコップすら、満足にデッサンができない超初心者です。
そういった人間が、個性的な表現だとか、永遠の美、といったことを言われても、ピンとこないわけです。
ただ、私は、そこであきらめてしまわず、他に、自分に合う本はないだろうか、と、いろいろ探し回りました。
けっこう、飽きっぽい性格なのですが、ことデッサンや、絵を描くことに関しては、もう少し調べてみよう、という気になったんですね。
そんな感じで探し続けていると、ポツリポツリと、自分にとって参考になるデッサン本と巡り合えたわけです。
ようは、もっと徹底的に基礎的な技術について、知りたかったわけです。
例えば、鉛筆の握り方とか、どこから描いていけばいいのか、という描く順番だったり、とかです。
探せば、そういう基礎の基礎から、丁寧に説明してくれているデッサン本は、何冊もあるわけです。
それが基礎を学び、身につけるきっかけとなり、ゆっくりとではありますが、デッサン力が、向上していきました。
こういう経験をして、今、振り返って考えると、やはり、基礎が大事だ、ということです。
デッサンの基礎をしっかりと身につけることで、その先に、個性や芸術的な美、というものに、たどり着けるわけです。
だから、これからデッサンを学びたい、または、デッサンがうまくなりたい、という人には、徹底的に基礎のテクニックを学んで欲しいのです。
例えば、野球のバッターでも、いきなりホームランを打てるわけではありません。
また、一流のホームランバッターの打ち方の真似をしても、自分がホームランを打てるわけではありません。
一流のバッターは、しっかりと基礎を身につけ、何百回、何千回も打席に立って、球を打とうとしてきたからこそ、ホームランを打てるようになったのです。
初心者の選手は、まずは素振りからはじめ、バットを球に当てることができるように、練習すべきです。
その先に、ヒットやホームランがあるわけです。
デッサンも同じように、基礎をしっかりと身につけた後、その先に、個性や美をともなったデッサンを描けるようになるのです。
デッサンを難しいと感じるのは、あまりにも立派で、完成度の高いデッサンを、いきなり描こうとするからです。
つまり、今の自分とは違う、高い理想に、いきなりジャンプして、たどり着こうとしているわけです。
そうではなく、階段を使って、一歩一歩、登っていきましょう、ということです。
もちろん、一流の画家の方々が書かれたデッサン書も、とても参考になります。
大事なのは、今の自分に合っているか、タイミングとして、最適なものか、ということです。
それがずれると、時として、デッサンを難しく感じ、あきらめてしまう人が出てくるのです。
そうではなく、基礎的なテクニックについて書かれた本を見つけ、ゆっくりと練習していきましょう。
一見すると、基礎的なデッサン技術は、理論的で、無機質なものに感じられるかもしれません。
デッサンは、理屈じゃないだ、と、思うかもしれません。
しかし、理論的だからこそ、誰にでも通用し、多くの人が身につけることができるテクニックなのです。
迷ったら、まずは、とことん基礎的な技術を解説したデッサン本を、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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