そもそも、デザインの勉強をするのに、なぜ、最初に、デッサンを学ばないといけないのでしょうか?
こういうふうに、疑問に思ったことはないでしょうか?
私は、デッサンの勉強を始めた当初、そういう疑問が、常に頭の中にありました。
なぜなら、デッサンが上手ではなかったからです。
もともと、絵を描くことが苦手でした。
そういう私がデザイナーを志したのは、なんだかワクワクして、作る喜びを味わえると思ったからです。
しかし、デッサンの勉強を始めたころは、とにかく、苦痛でした。
白い画用紙に、黒い鉛筆を使い、来る日も来る日も、三角や四角の基本立体や、リンゴやコップを描き続けます。
それがうまく描けるならまだしも、なんだか形がゆがんで、立体感も出ない。
こんなの、写真を一枚とれば、いいんじゃないか、と、つくづく、思いました。
しかし、そんな自分でも、周りの応援や、あきらめずに続けていたためか、デッサンをなんとか、マスターすることができました。
そして、デザインの勉強を始めてみると、デッサンの重要性を実感できました。
やはり、デザイナーになるには、デッサンが必要であり、それが、ものすごく、役に立ってくるのです。
今回は、デザインを学ぶ時、いかに、デッサンが有用か、という点について、お話ししたいと思います。
二つあるんですが、まずは、一つ目。
それは、「かたち」に対して、感受性が磨かれ、敏感になる、ということです。
例えば、コップ一つとっても、さまざまな大きさや形、色があります。
それが、デザイン的に優れているかどうか、ということを感じ取れ、判断できるのが、感受性なんです。
デザイナーになるには、その感覚が、当然ながら、一般の人よりは、敏感でないといけません。
デザイン的なものを感じ、それを、表現できる。
これが、デザイナーの基本の基本なんです。
デッサンをすることで、その感受性が磨かれます。
正直、普通の人は、物をじっくりと眺め、考えてみる、ということはしません。
それがどういう「かたち」なのか、ということは、注意を向けないし、気にしないんですね。
しかし、デッサンをすることで、その注意力や観察眼といったものが育っていきます。
そうしないと、そもそもデッサンが上達しませんから。
つまり、デザイナーにとって必要な、「かたち」に対する感性が、デッサンを勉強することで磨かれていく、ということです。
もう一つは、これはもう、単純で、当たり前のことなんですが、デザイナーにとっては、とても大事なことです。
それは、忍耐力であり、それがデッサンを通じて身につく、ということです。
はっきりいって、一つのデザインを完成させるためには、手間と時間がかかります。
そんな、一瞬で、パパっと、魔法のように、優れたデザインができるのであれば、誰も苦労しません。
そういう方法があれば、ぜひ、教えて欲しいものです。
つまり、モノを作り出すためには、多くの手順が必要だ、ということです。
それをあきらめず、コツコツと続けるには、忍耐力が必要です。
なんだか、ゴールするためには、忍耐が必要だ、というと、根性や精神論のようになり、時代錯誤なのかもしれません。
もっとも、精神論だけで、できるとは言っていません。
良いデザインを生み出すには、知識やテクニックが、もちろん、必要です。
しかし、それらを支えるのは、やはり、心の在り方であり、それが、忍耐なんですね。
一つのデッサンを仕上げるために、2時間、3時間、かけるのは、たいへんです。
しかし、それにより、忍耐力、というのは、確実に身についていきます。
私なんか、高校生の頃ですが、大きめのデッサンを仕上げるのに、3か月かかったこともありますよ。
そうやって身につけた粘り強さは、決して裏切りませんし、きっと、あなたの力になります。
これは、ちょっとした秘訣というか、デザインの秘密なのですが、多くの人は、最後の一歩を、踏み出すことをしません。
あと少し、ほんのもう少し、忍耐をもって、粘り強く考えれば、さらに良いデザインになった、ということが、いくらでもあります。
この最後の一歩を、あきらめずに、考え、踏み出すことができるかどうか、が、一流のデザイナーか、そうでないか、を決めるのです。
苦労して学んだデッサンは、決して裏切りません。
そう胸に秘めながら、今日もデッサンの勉強を続けましょう。
そのためのガイドブックです。
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