デッサンを上達する秘訣の一つは、たくさん、描くことです。
そして、もう一つ、重要なことは、時間の意識を持つ、ということです。
つまり、制限時間を設定して、デッサンを描く、ということです。
デッサンというと、どうしても、芸術や美術のイメージが強いようです。
満足のいくまで時間をかけ、最高のものを仕上げるまで、とことん描かなくてはいけない、と思われているようです。
確かに、それも大切です。
しかし、それはデッサンの「質」の問題であり、もう一つの「量」が、見過ごされていると、私は感じています。
「量」を描くからこそ、自然と、デッサンの「質」も向上してくるのです。
1枚のデッサンを完成させるために、何十時間も、何日も、時には、何週間もかけるより、とにかく、自分が完成と思えるところまで、描ききる。
そして、評価し、悪い部分は、どうすれば改善するか、考える。
そして、答えやヒントが見つかったら、次の新しいデッサンに取り組む。
このようにして、デッサンの数を増やしていくのです。
その時、重要なのが、時間を、常に気にかける、ということです。
自分で、制限時間を設定し、その時間内に、とにかくデッサンを描ききるようにしてもいいでしょう。
制限時間を設定する利点は、いろいろあります。
まず、時間が決まっていると、集中力が増します。
制限時間がないと、あーでもない、こーでもない、と、自分のペースで、のんびり試行錯誤して描いてしまいます。
しかし、デッサンを描く時間を設定することで、頭の回転や、手を動かすスピードも、格段に速くなります。
その結果として、デッサンの「量」を描くことができるのです。
また、入試のデッサンの課題や、授業でのデッサンでも、必ず、制限時間は決まっています。
決められた時間内に完成しないと、そもそも評価の対象になりません。
例え、自分にとっては、短いと感じる時間でも、その制限時間の中で、自分の実力を、十分に発揮し、ベストの作品を描かないといけません。
そのためにも、日頃から、時間を設定し、デッサンを描く練習をしておくといいでしょう。
特に、デザインの学校の入学試験にチャレンジする人は、ぜひ、過去に出された課題問題を、決められた制限時間内に、どれくらい描くことができるか、試してみて下さい。
あと、時間の意識を持つことは、将来、デザインの仕事をする時にも役立ちます。
全ての仕事がそうであるように、デザインの仕事にも、締め切り、という時間設定があります。
その決められた制限時間に、デザインを完成させないといけません。
デザインのための創作活動は、常に時間との勝負なのです。
したがって、デザインを学びはじめる時、つまり、デッサンを学ぶ時から時間に対する意識を持つことは、非常に大切なのです。
今まで、なんとなく、自分のペースで、デッサンを描いてきた、という人は、ぜひ、時計を手元に置いて、完成させる目標の時間を決めてみて下さい。
最初は、ぜんぜん間に合わず、自分が設定した時間内では、デッサンが完成しないかもしれません。
しかし、続けていくうちに、間違いなく、手を動かすスピードは上がってきます。
そして、気づかないうちに、デッサンの実力も上がり、「質」も向上しているでしょう。
なぜなら、集中して描き、そして、たくさんの「量」のデッサンを描くことができるからです。
デッサンと時間、これは、とても大切なポイントです。
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