鉛筆デッサンを描く場合、その考え方は、非常にシンプルです。
そのシンプルな考え方を基本に、しっかりとした描写力を身につける必要があります。
つまり、中心となる、しっかりとした軸をかためて、そこから徐々に広げていく、というやり方です。
例えば、鉛筆デッサンで重要なテクニックの一つに、陰影の描き方があります。
黒一色で、影や色を表現するのが鉛筆デッサンですから、陰影のつけ方は、とても重要です。
そのテクニックの出来不出来によって、デッサンの完成度は、大きく変わってきます。
存在感や質感を出すためには、陰影を、しっかりと描く必要があるでしょう。
では、どのような考え方でもって、陰影を描いていけばいいのでしょうか?
答えは、線を重ねていく、という考え方です。
鉛筆デッサンの場合は、線の密度によって、陰影を表現していく、と考えてもらうと、理解しやすいと思います。
例えば、窓の日よけとして使われるブラインドをイメージしてください。
薄くて細い羽が、重なっていて、その角度を変えることで、外からの光の強弱を調整できます。
ブラインドの羽の間を広げることで、光を多く取り込み、部屋の中が明るくなります。
逆に、羽と羽を近づけることで、だんだんと、取り込む光が少なくなり、部屋の中は、暗くなります。
ぴったりと、密接させれば、外からの光は入らなくなり、真っ暗になります。
デッサンの陰影のつけ方も、原理的には同じです。
線の密度を低くする、つまり、線と線との間隔を広げると、画用紙の白さが表に出てきて、明るさを表現できます。
(デッサンの場合、一番、明るいのは、紙面の白さです。これ以上の明るさは、存在しません)
一方、線の密度を高め、間隔を近づけることで、影を、だんだんと濃くしていくことができます。
その密度を最大限まで高め、いくつも重ねあわせると、濃い影を描き出すことができます。
このように、線の密度によって、無限の陰影のバリエーションを描き出すことができるのです。
時々、鉛筆を寝かせて、一気に、黒く塗りつぶして、影を表現する人がいます。
しかし、この場合、濃さが均一になってしまい、単調な影になってしまいます。
これでは、影の微妙な変化が表現できないため、リアルなデッサンになりません。
スピード感をもって描くクロッキーなどの時は、このような影のつけ方も有効ですが、デッサンでは、向かない描き方です。
このように、鉛筆デッサンでは、陰影の描き方でも、その基本的な考え方を理解しておくことが必要です。
シンプルな考え方を理解しておくことで、描写のテクニックも身についていきます。
ただ手を動かしていれば、デッサンが上達する、というわけでもないのです。
万が一、上達するとしても、長い時間がかかることでしょう。
ぜひ、根本的な考え方を知り、理解してから、デッサンを描き始めて下さい。
そうすることで、効率よく、最短距離で、目標とするデッサンを、描けるようになるでしょう。
そのようなヒントを、まとめてみました。
コメント