鉛筆デッサンにおいて、大事なことは、いくつかあります。
形を正確にとらえることは、もちろんですが、構図や、質感の表現なども、重要です。
しかし、一番、大切なのは、やはり、立体感でしょう。
立体感を、きちんと表現できれば、まず、初心者卒業と言っていいと思います。
では、デッサンにおける立体感とは、どのようなものでしょうか。
そもそも、現実に存在する三次元の立体物を、二次元の平面上に、デッサンで表現するわけですから、どうしても、無理があります。
つまり、三次元から二次元へと、変換をしないと、いけないわけです。
それが、デッサンにおける立体感の描き方、デッサンのテクニックです。
つまり、描写方法によって、二次元に描かれたものを、三次元に存在するように、見る人に目に、錯覚させるのです。
そうすることで、デッサンで描かれたものが、見る人に、立体感をともなって、リアルに感じられます。
では、もう一歩進めて、立体感を出すための描き方で、大事なことはなんでしょうか。
それは、影です。つまり、陰影ですね。
立体物に光が当たると、当然、影ができます。
つまり、光があたっている明るい部分と、その逆の面である影を、上手に描くことができると、立体感が表現できます。
しかし、この影を描くことは、簡単ではありません。
強い光もありますし、弱い光もあります。
また、対象の材質によって、光の反射具合も違ってきます。
これらのような、バリエーションのある影を、きちんと描きることで、本物らしく見える立体感を表現できるのです。
この影のバリエーションの描き方ですが、まず、グレースケールを、きちんと描くことができるようになることです。
グレースケールは、鉛筆を使って薄い灰色から、真っ黒まで、段階的に濃くしていく練習です。
このグレースケールで、影の濃さの描き方をしっかりとマスターすれば、あとは、その影を、実際のモチーフに当てはめていくだけです。
ただ、これだけですと、まだ、立体感は、きちんと表現できません。
なぜなら、単純に灰色の影をあてはめていくと、それは塗り絵のようになり、なんとなく平面的になってしまうのです。
そこで、もう一つの重要なポイントがあります。
それは、光の反射です。
光というのは、物質にあたると反射します。
つまり、物質にあたって終わり、そして、逆に、光が当たらない部分は、真っ黒の影になる、という単純なものではありません。
例えば、テーブルに置いた皿の場合、光のあたる上の部分だけが明るく、下の面は、真っ暗、というわけではありません。
テーブルにあたった光が反射して、皿の下部を、ほんの少し、明るく照らしています。
そのため、皿の下の部分は、少しだけ明るくなっています。
このような微妙な光の反射をとらえて表現することで、デッサンに立体感が出てくるのです。
デッサンというのは、ある意味、科学的なものですから、光の特長をよくとらえ、理解すると、表現力の向上に役立ちます。
最初は、このような光の反射を、自分の目で見て、確認するのは、難しいかもしれません。
そのため、模写などを通して、少しずつ、覚えていくといいでしょう。
このような立体感をマスターすることで、本物のデッサンを描くことができるようになります。
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