デッサンは、難しい。
これは、デッサンを勉強し始めた若い頃にも感じましたし、こうやって、今、デッサンについて書いていても、同じように感じます。
だからこそ、どうすれば、それを乗り越えられるのか、と考えているわけです。
私の場合、そもそも、デッサンに対して、それほど、興味はありませんでした。
単に、デザインって、おもしろそうだな、と思い、そのために、デザイナーになりたいな、と考えていました。
ただ、デザインを学ぶ大学に入るためには、デッサンの実技試験がある。
それをクリアするために、デッサンを、ある程度、うまくなる必要があったのです。
だから、絵が上手になりたい、デッサンがうまくなりたい、と真剣に考えている人とは、ちょっと違っていました。
できれば、デッサンの練習は、そこそこにして、デザインのテクニックなどを知りたかったのです。
こういう消極的な動機だったためか、とにかく、デッサンは難しく、それは、乗り越えられないような壁に感じられました。
でも、そういう自分でも、なんとかデッサン力を身につけ、デザインを学び、デザインの仕事をするところまでは、たどり着くことができました。
(デザイナーとして、成功し、活躍できたか、というと、また、話は別ですが)
そういった人間であることを前提として、いかにデッサンを学び、身につけていくか、ということに対して、ヒントを語ってみたいと思います。
私は、デッサンを勉強している間、あきらめていく人を見てきました。
そういう人は、ちょっとうまくいかないと、そこで投げ出してしまうのです。
私は、それを見ていて、非常にもったいないというか、残念だな、と感じました。
やはり、自分の夢や希望を、デッサンができない、ということだけで、捨ててほしくはなかったのです。
これは、別に根性がないとか、飽きっぽいとか、精神論の話ではありません。
いかに、自分にとって必要な知識やテクニックを、身につけていくか、という話です。
そもそも、私も根性なんかないですし、とても飽きっぽい性格です。
では、そんな私でも、なんとかなった理由は、とにかく、あらゆる方法を試してみたからです。
乗り越えられない壁なら、どこかに低い壁がないか、探してみる。
または、壁に穴が掘れないか考えてみる。
他にも、どこかに梯子がないか探してみてもいいですし、乗り越える方法を、他の人に聞いてみてもいい。
そうやって、行き詰ったら、とにかく別の方法を考えてみるんです。
また、壁を乗り越えるために役立つなら、それは小さなことでも構いません。
それがきっかけになって、うまくいくかもしれません。
例えば、壁に小さな穴を掘ったとします。
それは、指が入るぐらいの小さな穴です。
他の人は、そんな小さな穴では、人が通ることができないから、無駄だと思って、あきらめてしまいます。
しかし、小さな穴を掘ることができるなら、それを少しずつ、広げて、大きくしていくことも可能です。
また、もしかしたら、小さな穴をあけたことで、壁が崩れるかもしれません。
そういった小さなことで、状況は変わるのです。
例えば、難しいと感じていたデッサンも同様です。
例えば、形のとらえ方でも、基本形態を理解することで、描きやすくなるかもしれません。
影のつけ方でも、鉛筆の持ち方ひとつで、やりやすくなるかもしれません。
そういった小さな成功を積み上げることで、デッサンに対して、前向きな気持ちになります。
そうして、小さな「できること」が増えていけば、だんだんとデッサンに対して、興味を持ち、積極的な気持ちになれます。
「できること」が、半分を超えれば、後は、比較的、スムーズに進みます。
なんといっても、「できないこと」より、「できること」の方が多いのですから、多数決で、デッサンは「できること」になります。
その状態になると、自信も生まれますから、デッサンの練習にも身が入ります。
その結果、「できること」が増えて、いつのまにか、デッサン全体が「できること」になるのです。
デッサンが難しく感じるのは、最初から、大きなデッサンを、一度に、上達しようとするからです。
もちろん、才能があり、ガッツがある人は、すぐにマスターすることも可能でしょう。
でも、そうではない人は、自分にできることを見つけ、小さなことでも、「できること」にしていく。
その積み重ねが、デッサン上達へとつながっているのです。
あなたに、デッサンをあきらめてほしくないので、そのためのヒント集を作りました。
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