デッサンを始める前の考え方が、重要です

デザイン デッサン

 デッサンというと、どうしても描写のテクニック的な面に、注目がいきがちです。

 確かに、デッサンは、実際に描くことで作品となり、その出来栄えによって評価されます。

 つまり、描けないことには、何にもならないし、うまく描写できて、はじめて上手になった、といえるのです。

 デッサンを学んでいる人の多くは、ここを目指しているといっていいでしょう。

 

 しかし、だからといって、闇雲に、ただ、手を動かせばいい、というものではありません。

 手を動かし、描き続ければ、デッサンがうまくなる、というものでもないんです。

 もちろん、長い期間にわたって、懸命に努力すれば、デッサンが上達するかもしれません。

 しかし、それには、たくさんの時間と練習が必要です。

 デッサンの他にも学ぶことがある人にとっては、いかに重要だからといっても、デッサンだけに、学びの時間を、多くかけるわけにもいきません。

 また、いつかは上達するといっても、それが二年後になるのか、三年後になるのか、五年後、十年後、もしくは、それ以上になるかもしれないのです。

 

 例えば、料理を考えてみましょう。

 料理が上手な人の様子をみていて、その通りにすれば、自分も、おいしい料理が作れるようになるでしょうか?

 野菜や肉を切り、鍋にかけ、調味料を加える。

 それだけで、おいしい料理ができるわけではありません。

 同じ材料、同じ手順を踏んでも、料理が上手な人と、そうでない人は、出来上がりに大きな差があります。

 その違いは何かというと、そう、レシピを知っているかどうか、ですね。

 肉と野菜の切り方や、量のバランス、炒めたり焼いたりする時の火加減や時間、さらには、調味料の分量や、加えるタイミングなどが大切です。

 これらを、手順よく、順番通りに、適切なタイミングでおこなっていくことで、はじめて、おいしい料理が出来上がるのです。

 料理が上手な人を、ただ見ていて、そのとおりに手を動かせば、おいしい料理ができる、というものではないんです。

 

 これは、デッサンでも同様です。

 デッサンが上手な人の作品や、描く様子だけを見ていて、その通りにすれば上達する、というものではありません。

 デッサンにとって、何が大事か、どうして、そのようなテクニックが必要か、ということを、しっかりと理解しておく必要があります。

 そして、どのような順番で、どのようなタイミングで、適切な手法を使うか。

 これらを理解して、はじめて手が動き、素晴らしいデッサンを、描くことができるようになるのです。

 

 つまり、デッサンを始めるにしても、むやみに手を動かしていけばいい、というわけでもないんです。

 デッサンを描くうえでの考え方、理論を、事前に知っておくことで、最適な手の動かし方ができるようになり、それが、しっかりとした描写へと結びつくのです。

 そのような前提知識を知っておくことで、デッサンの学習は、格段にスムーズに進むようになります。

 

 そのようなデッサンのヒントを、まとめてみました。

⇒『デザインのためのデッサン講座(考え方・初級編)』

 

 

 

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