デッサンというと、どうしても、芸術や美術の方向から、とらえる人が多いと思います。
確かに、デッサンは、学校の美術の授業で取り上げられますし、本屋さんの美術書のコーナーに、デッサン技法書が並んでいたりします。
しかし、デッサンには、別の面というか、習得のためには、違ったアプローチ方法もあります。
例えば、デザインを学び、デザイナーになるために、デッサンを練習する場合は、また異なる考え方も必要なのです。
芸術や美術の面から、デッサンをとらえている人は、デッサンは一気に描き上げるもの、と思っているようです。
つまり、感性や思いつき、センスにまかせて、どんどんと描き、あっという間に描き上げる、という感じです。
確かに、芸術家が絵を描く、という場面を想像すると、そういう感じですものね。
しかし、感性だけではなく、理論的、理屈でもって、デッサンを描いていく、という考え方もあります。
特に、デザインにおいては、理論というか、きちんとした考え方を持って、モノを作っていく、というやり方が、とても重要です。
デザインというと、アーティスティックなグラフィック・デザインばかりを、想像しがちですが、それは、あくまでも、デザインの一分野にすぎません。
例えば、工業製品などをデザインするプロダクト・デザインや、部屋や家具などをデザインするインテリア・デザインなどは、理論が大切です。
そういう目標に向かって学んでいく場合、デッサン一つとっても、そこで理論的な考え方、理論的な描き方、という方法が必要になってきます。
ただ、理論的、といっても、何も難しいことではありません。
きちんきちんと手順を踏んで、誰にでも理解できるような描き方で、デッサンを描いていきましょう、ということです。
例えば、具体的に言うと、デッサンをどのように描いていくか、常に意識して、描いていく、ということです。
この部分をしっかりと理解して、身につけることができれば、どのようなモチーフでも、恐れることなく、描くことができるようになります。
では、その具体的な描き方ですが、代表的な例をあげてみましょう。
まず、大きくアタリをつけて、全体の形をとらえていきます。
次に、面どりをして、少しずつ、輪郭をとらえていく。
その後、順番に影を描きこんでいき、立体感を出していきます。
最後に、全体のバランスを見ながら、メリハリをつけ、完成させていきます。
こういう感じで、具体的に段階を踏んで、デッサンを完成させていきます。
ようは、こういうプロセスを理解して、自分でも考えながら、冷静にデッサンしていく、ということです。
このような流れは、たいていのデッサン技法書では、解説されていますから、ぜひ、参考にしてください。
何も、デッサンは、才能やひらめきによって、一気に描くことができるものでもありませんし、すぐに上達するものでもありません。
まさに、コツコツと段階を踏んで描き、コツコツと練習していくものです。
そこには、期待したような派手さや、かっこよさは、ないかもしれません。
しかし大事なのは、描く人や描く動作が、かっこいいかどうか、ではありません。
出来あがったデッサン作品が、人の心に訴えかけるような、かっこよさをもっているかどうかなのです。
そのためのお手伝いをできればと思い、まとめてみました。
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