デッサンを描く時、よく言われるのが、「見たままを描けばいい」という言葉です。
デッサンするモチーフは、目の前に、すでに見えています。
その見えている通りに、鉛筆で画用紙に、ただ描けばいい、ということです。
すでに、答えは、全て目の前にあるのですから、それを描くのは簡単だろう、というわけです。
ですから、デッサンを始める人の多くは、あまり深く考えずに、鉛筆を手に取り、描き始めます。
目の前の光景を、見たまま、それを再現するために、デッサンを開始するのです。
……しかし、うまく描くことができません。
そのため、デッサンは難しい、自分には向いていない、と思い、あきらめてしまうのです。
なぜ、この方法では、うまくいかないのでしょうか?
なぜ、多くの人が、デッサンを始めても、あきらめてしまうのでしょうか?
それは、デッサンは、それほど簡単ではない、ということです。
デッサンを始める前に、知っておかなければならないこと、考えておかなければならないことがあるからです。
つまり、準備をしましょう、ということです。
デッサンの場合、目の前に、すでに「答え」がありますから、ついつい、軽い気持ちで始めてしまいがちです。
しかし、今、目の前に見えているのは、モチーフの表面にすぎません。
それだけを見て、デッサンを描こうとしても、うまくいかないのです。
形は崩れるし、立体感はうまくだせないし、到底、目の前のモチーフとは、似ても似つかないものになってしまいます。
例えば、一軒の家を想像してみてください。
家の外観などを、きれいに撮影した写真だけを見て、その家のように、新しい自分の家を建てようとします。
でも、写真にうつった外見だけを見ても、家を建てることはできないでしょう。
なぜなら、家には、基礎となる土台が必要であり、柱や梁もあるからです。
外からでは見ることのできない、構造がしっかりしてこそ、家は建ちます。
その骨組みが、しっかりしているからこそ、きれいな外観が生まれるのです。
つまり、目に見える表面だけでは家を建てることはできず、「設計図」が必要だ、ということです。
デッサンを描く時も、理屈は、これと同じです。
ついつい、目の前に「答え」がありますから、それを見たまま、そっくり再現しようとします。
しかし、そうではなく、形をどのようにとらえ、どのように描けばいいのか、という方法論が重要です。
また、立体物を立体的に描くには、光のとらえ方や、影の表現テクニックを知らなくてはいけません。
それらは、いわば、デッサンを支える基礎となる部分ですし、デッサンを構成するために必要なテクニックとなるものです。
このようなことを知り、頭の中で、事前に、デッサンの「設計図」を準備できるようにならなければ、良いデッサンを完成させることはできないでしょう。
デッサンに必要な構造的なテクニックを知り、使いこなせるようになって、初めて、上手に描くことができるようになります。
初めてデッサンを描く時は、すぐに取り掛かるのではなく、まず、事前に準備をして、計画を立てて、取り組みましょう。
そのためのヒントを、まとめてみました。
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