先日、本屋をブラブラしていて発見したのが、マイケル・クローガー編、和田美樹訳『[新版]ポール・ランド、デザインの授業』(ビー・エヌ・エヌ新社)。
実は、2008年に発行された本の復刊らしい。
最近は、なかなか、新しい本に目がいかなかったので、その当時は、私とは、めぐり会わなかった模様。
もっと、書店のデザインコーナーを注目しなくては、と、反省しました。
さっそく読み始めたんだけど、期待どおり、というか、期待以上に、おもしろい。
デザインが好きな人や、実際に、デザインを仕事にしている人にとっては、気づかされる言葉が満載。
特に、壁にぶつかっている人や、デザインって、何だろう? と疑問に思っている人には、新たなひらめきが、得られると思う。
話は、けっこう、原理原則論というか、かなり抽象度が高めなんだけど、実践に裏打ちされているし、なんといっても、対談形式なんで、非常に読みやすい。
また、薄い本なので、一晩と言わず、1時間や2時間で、スラスラと読むことができる。
しかし、一つ一つの言葉が、とても示唆に富むので、考えながら読んでいると、おそらく、一日がかりになるかも。
というような、第一印象なので、ぜひぜひ、お薦めしたいと思っていた。
しかし、そこで、はたと、思いとどまる。
はたして、どれくらいの人に受け入れられ、響くのだろうか、と心配になった。
おそらく、若い人にとっては、ピンとこないのではないか、と思うのだ。
ただ、誤解して欲しくないのは、内容は、とても素晴らしく、デザインを勉強をしている若い人には、ぜひ、読んで欲しいし、きっと、役立つとは思うのだ。
……でも、正直、知らないでしょ、ポール・ランドって……
やっぱり、今の若い人の世代とは、ちょっと時代が開き過ぎているのかもしれない。
私も、若い時、ベテランというか、大御所のデザイナーの本を読んでみたけど、それほど、響かなかったのだ。
なるほど、いい事、言っているなぁ、とか、デザインって、そういうことなのかー、というような感想を持ったのは、おぼえている。
しかし、それが、自分のデザイン・ワークに、うまく活かされたかというと、そうでもなかったのだ。
確かに、それは、活かすことができなかった私にも、責任があるんだけど。
やっぱり、若い時は、もっと刺激的なことや、直接的なテクニックに、あこがれたりするものなのだ。
だから、若い人に、本書を勧めて、読んでもらっても、どれくらいの人の心に届くのか、ちょっと自信がないのだ。
おそらく、本当に心に響くのは、ある程度、デザインをやって、苦しんだり、迷ったり、悩んだりした人だろう。
デザインの場合、いろいろな要素が多くて、ついつい、迷子になってしまう。
そうなった時、デザインというのは、非常にシンプルなんだ、ということを気付かせてくれるのが、本書のような、デザインの本質を、正面から、親切に説明してくれる本なのだ。
だから、ここでは、全ての人に勧めるというよりも、デザインについて、悩んでいる人に、ぜひ、手に取ってもらいたい。
きっと、ヒントが見つかるから。
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