デッサンの基本的な考え方や、役立つテクニックを解説したのが、『デザインのためのデッサン講座』です。
私が、この講座レポートを作った動機は、デザインを学んでいる方に、少しでも、デッサンを効率よく学んで欲しいからです。
私が、最初に、デッサンを学びはじめた時、いろいろな参考書や技法書を読みました。
確かに、デッサンの上手な人や、美大の先生が書かれているデッサン本は、勉強になりました。
基本的な描き方はもちろん、どのようにしたら質感が表現できるか、また、石膏像をどのように描けばいいのか、などが、詳しく解説されています。
しかし、何冊も読んでいるうちに、あまりにも高度な内容に、ついていけなくなりました。
確かに、デッサン力を上達させるには、参考になるのですが、芸術家や画家のレベルまで達するには、かなりの練習と時間が必要のようでした。
そもそも、私がデッサンを学びはじめた動機は、デザインを学ぶための学校に入学するためでした。
入試科目に、デッサンがあるので、ある程度、上達しないといけません。
これまで、まったくといっていいほど、デッサンを学んでこなかったので、最低限のデッサン力は身につける必要があります。
そして、美大の入試で、合格点がもらえるレベルまで、到達しないといけないわけです。
逆に言えば、その入試に合格できるレベルのデッサン力があれば、当面は大丈夫なのです。
そのように考えがまとまると、あとは、いかに効率よくデッサンを学び、短期間でレベルを上げるか、ということに意識を向けるようになりました。
もちろん、デッサンは、芸術的な側面もあります。
私も、一流と言われるデッサン技術を身につけ、表現力も高めていければ、と思わないわけではありません。
しかし、目指すべきゴールというか、目的や目標が、ちょっと違っていたのです。
私は、人それぞれが、自分の目標に向かって、デッサンを学び、その技術を習得していくべきだと思います。
ただ、デッサンを学ぶために必要なデッサンとはどういうものか、ということが、なかなか、わからなかったのです。
幸いにも、勉強していると、そのようなことを丁寧に解説してくれた専門書に出会うことができました。
山本正英著『デザイナーのための鉛筆デッサン』(アトリエ出版社)
しかし、デザインに必要なデッサンとは何か、ということを理解するために、かなりの時間がかかりました。
今から思うと、その時間を使って、もっと別な勉強もできたのでは、と感じています。
デザインを学ぶためのデッサンを、効率よく学ぶ必要性は、時間を作るためにあります。
デザインは、デッサンだけができればいい、というものではありません。
他にも、タイポグラフィやレタリング、色彩構成に平面構成、あと、編集・出版や、広告についての勉強も必要です。
デザインを学ぶ入試に関しても、最低限、色彩や平面構成などの知識と実技は必要でしょう。
そのような知識を学び、技術を身につけるために、デッサンを効率よく学び、他の科目の学習にあてる時間を、確保する必要があります。
とにかく、デザインは、学ぶべき項目が多いのです。
アートというか、芸術家を目指すなら、一つの技術を、とことんまで突き詰めるのも、いいかもしれません。
しかし、デザイナーになりたいのであれば、さまざまな技術をバランスよく、身につける必要があります。
デッサンは、その中の一つにすぎません。
そのため、デッサンを効率よく学ぶ必要があるのです。
私の作った講座レポート『デザインのためのデッサン講座』は、そのようなことを踏まえています。
デッサンを効率よく学ぶには、しっかりとした考え方と、ちょっとしたテクニックが必要です。
このようなことを知っておくことで、スムーズに、デッサン力を向上させることができるでしょう。
デザインを学ぶ方が、少しでも楽にデッサンを学び、他の科目を学ぶ助けになれば、と思っています。
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