編集デザインで使われるレイアウト・テクニックでは、主に、文字や写真の取り扱い方が、メインで語られます。
しかし、それらの文字や写真を、どのような紙面にレイアウトしていくか、ということも重要です。
つまり、どのような大きさの紙面にレイアウトするのか、ということにも、注意をする必要があるのです。
なぜなら、紙面の大小によって、レイアウトのやり方が、変わってくるからです。
これは、ある程度、レイアウト作業をしている人にとっては、当たり前のことかもしれません。
しかし、レイアウト作業に慣れない人だと、ついつい文字や写真などのレイアウトする要素に注意がいきがちです。
その結果、紙面の大きさや性質に関係なく、レイアウトをしてしまったりします。
では、具体的に、どういった点に気をつけて、レイアウト作業をすればいいのでしょうか?
例えば、女性誌などの大判の雑誌の場合、見開きですと、かなり大きな誌面になります。
その分、たくさんの情報を掲載することができます。
ただ、やはり、雑誌の性質というものがあります。
高級感を出すような婦人誌ですと、ゆったりめのレイアウトになりますし、情報系ですと、かなりの記事量を誌面に盛り込むことができます。
そういった余白を利用した余裕のあるレイアウトや、情報量が多くなっても見やすいレイアウトにするには、外枠であるフレームを考える必要があります。
当然、見開きがA3判の雑誌と、B4判の雑誌では、レイアウトの仕方が変わってきます。
そのため、判型変更などがあれば、レイアウトをやり直す必要があるのです。
それだけ、レイアウトは、外枠であるフレームの大きさと関係しています。
つまり、紙面の大きさと、デザインする対象の性質を意識しつつ、柔軟にレイアウトをしていく必要がある、ということです。
最近、このレイアウトとフレームの関係について、気になっているのが、スマホ対応のレスポンシブルデザインです。
パソコン用に作られたサイトを、スマホで見ても、きれいに見えるようにするのが、レスポンシブルデザインですよね。
以前は、レイアウトが崩れないように、パソコン用と、もう一つ、スマホ用のサイトを制作していました。
しかし、今は、かなり、レスポンシブルデザインの技術も進化してきて、同じデータのサイトでも、とてもきれいに見えます。
これが、自動でできるのは、素晴らしいと思います。
受け手としては、そういったフレームの違いというか、フレームの存在を気にせずに、情報に触れられるのは、いいことだと思います。
おそらく、フレームの違いによって、デザインが変化している、いや、変化させる必要がある、ということを気付かないぐらいに、レスポンシブルデザインによって、スムーズに見えているからです。
しかし、送り手、作り手の立場から言えば、単に、プログラム的な技術だけに頼っていてもいいのか、という不安もあります。
先に書いたように、レイアウトとフレームは、重要な関係になります。
それを意識せずに、フレーム変更を、ただ単にプログラム処理だけで、すますようになっては、あまりにも寂しいと感じます。
しかし、レスポンシブルデザインの技術は、すごいですし、私も、興味はあります。
例えば、今は、印刷媒体で発行された雑誌を、電子媒体でも読むことができます。
その場合、アクセスする方法として、パソコンやタブレット、またはスマホがあります。
当然、それらは、画面の大きさ、フレームが違います。
その違いによって、雑誌の誌面も、再編集されたり、再デザインされたりしたら、おもしろいと思うのです。
そして、それが、どのように印刷媒体へ跳ね返ってくるのか。
また、ゆくゆくは、レイアウトデザインに、どのような影響を及ぼしてくるのか。
案外、文字や写真など、レイアウトする要素を準備さえすれば、ボタンひとつで、きれいなレイアウトをしてくれるプログラムが、登場するかもしれません。
そういう時、人が考えるデザインとは何か、という存在意義が問われると思うのです。
私は、それはそれで、おもしろい時代だなぁと、思います。
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